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寺島実郎の視座 「普天間」は終わっていない(2) ~編集長インタビュー~

一色清

一色清

 ――今の日本人も、アメリカの存在に対して、あるいは日米関係について、暗黙のうちに抱いている観念のようなものが抜きがたくあるように思うのですが。

 「これまた日本人には、恐ろしいことに、世に言う『虎の尾論』というのがあります。要するに、アメリカの意にそぐわない形では問題は解決できないのだ、というように先回りする傾向ですね。例えば、普天間問題は、もともとはまず沖縄で少女に対する暴行事件だとか、さらにはヘリコプターの墜落などという事故が起こっている。アメリカの基地自身が引き起こした問題が、普天間の危険性というのを大きくクローズアップするところとなり、普天間移転ということが課題として浮かび上がりました」

 「要するに、この基地の安全という意味においては、基地を利用し、使用しているアメリカ自身が大きく責任を共有していかなければならないのは明白なのに、アメリカがそこで一歩退いたうえで、「自分達にとって適当で納得のいく代替案があったら持って来い」と言っている。あたかも、奥座敷の床柱を背負ってどてらを着て、腕組んで待っているような構図になっています」

 「日本サイドが右往左往して、普天間問題を国内問題に矮小化してしまう。つまり、『沖縄の人達がかわいそうだ』『沖縄の人だけに負担をかけるのはまずい』『もっと他のところでも分担しよう』などという程度の話にしてしまう愚かしさ。肝心なのは、この話の本質である、アメリカとの関係の再構築であるはずでしょう。冷戦終結から20年を経た今日の段階で、冷戦を前提にした仕組みであったはずの日米安保を、本格的に問い直し、新しい意味付けをしましょうということです」

 「ちょうど90年代に、同じ敗戦国の立場だったドイツがやったように、やれないことではないはずです。日本は90年代に宮澤内閣の崩壊以降、自民党単独政権が終わって、短命政権が交代したために、結局この問題に手をつけずに来てしまい、21世紀を迎えてしまった。この日米同盟の話を、例えば、米中の戦略対話のように、日米でも戦略対話の仕組みを作って、段階的にであれ基地ごとの使用目的と機能をしっかりとテーブルに乗せて、本当に必要なものは残し、それほど必要のなくなってきているものや、意味のないものについては段階的に縮小し、地位協定を改定して日本側に主権を回復していこうということをしっかりと語っていくことが極めて重要です。その方向感のなかでしか、普天間問題は最終的に解決しないんですよ」

 「しかしながら、外交には継続性がある。前政権、自民党が中心である政権であれ、日本国としてアメリカとの間に合意形成している。例えば、辺野古への移転という案については、入口から拒否したんでは外交関係が厳しい。ならば、これはこれで一歩踏み込んでも、つまりそのまま仮に実現したとしても、「我々は最終的にはここを目指している。そのプロセスの中にいるのだ」ということを語らないままでは、ジグソーパズルの中にはまり込んでしまう。しかも、それは持ち時間付きジグソーパズルで、鳩山氏は自分で勝手に5月末までの決着などということを言ってしまった。その自縄自縛が今回の結果をもたらしたと言わざるをえません」

 ――鳩山さんも、そうした本質は分かってはいて、基本的にはそれが大事であることは理解していたのだけれども、とりあえずの当面の普天間の移設という政策課題と本質の話を分けて考え、その政策課題に向き合う時間的な制約があったとは考えられませんか。 ・・・ログインして読む
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筆者

一色清

一色清(いっしき・きよし) 

【退任】週刊紙「アエラ」前編集長。1956年生まれ。78年朝日新聞社に入り、経済部記者、「アエラ」編集部員などを経て、2000年「アエラ」編集長。beエディター、出版本部長補佐などを経て、08年10月から「報道ステーション」コメンテーターを務めた。「アエラ」副編集長時代には、中吊り広告下の一行コピーを担当。2012年1月まで「WEBRONZA」編集長。

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