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若者を採用しない企業の行く末

竹信三恵子

竹信三恵子 ジャーナリスト、和光大学名誉教授

 2011年3月に卒業予定の大学生・大学院生に対する民間企業の求人倍率が、2001年以来の水準に下がった。01年は「就職氷河期」といわれた時期だが、その水準に逆戻りしたとわけだ。

 景気が悪いからしかたない、という見方もあるだろう。だが、問題は、業績が悪くて採用できないというだけではなく、企業が即戦力になるような学生を選りすぐって採用する「厳選採用」へと変化してきたことだ。

 03年のころ取材で出会った24歳のフリーターの男性は、四年制大学を卒業し、就職難をかいくぐって大手化学企業に入社した。ところが、半年の研修を経て、工場のパート労働者のまとめ役になった。社内のことなどほとんど理解していないのに、年配者を含む熟練パートをまとめねばならず、ストレスから体調を崩し、退職に追い込まれた。

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