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バラ色でない電気自動車の未来

一色清

一色清

 先日、ホンダが2012年に電気自動車を発売すると発表しました。トヨタ自動車もすでに2012年に電気自動車を発売することを公表しています。少し前まで、トヨタは電気自動車は遠い将来のクルマだとして、ハイブリッド車とプラグインハイブリッド車で当分いくという方針を明確にしていました。ホンダは、燃料電池車に力を入れてきて、そこまでのつなぎをハイブリッド車に託す考えと見られていました。ところが、両社ともわずか2年後には電気自動車を発売するというのですから、方針の急転換で、電気自動車の未来に明るさが増していると思わせました。

 ただ、私は、電気自動車がユーザーから積極的に選ばれるクルマになるのは、まだかなり先のことだと思います。早くても10年以上先ではないでしょうか。

 電気自動車が普及するために克服しなければならない点は、大きく分ければ3つあります。一つは価格。まだ電池の値段が高いため、同じクラスのガソリン車に比べれば、補助金を入れても、倍ぐらいの値段になっています。

 もう一つはインフラが整っていないことです。充電スタンドは実験段階としてポツポツとあるだけで、とても充電切れの不安に耐えられるだけの数はありません。

 三つ目は、フル充電後の連続走行距離が実質100キロ程度しかないことです。三菱自動車のアイ・ミーブは走行距離を160キロとうたっていますが、これはほかに電気の必要な機器を何も使わず、最適な運転状態で稼げる距離です。普通にエアコンを入れたり、ライトをつけたりしながら走行すると、100キロ程度しか走りません。

 この三つのハードルのうち、最初の二つのハードルはさほど高くありません。価格は量産効果や生産技術でまだ下げる余地はかなりあります。インフラも、電気自動車が普及すれば、それと追いかけっこで整備が進むはずです。

 高いのは三つ目のハードルです。今のリチウムイオン電池を使った電気自動車では、どんなに電池の開発が進んでも、走行距離は今の1.5倍から2倍が限界だと見られています。つまり、200キロが限界で、2020年あたりで200キロが実現されるという見通しが一般的です。別の方式の電池、例えば金属空気電池が開発されれば、飛躍的に走行距離が伸びると考えられますが、今のガソリン車並みの500キロ走行が可能になるのは、早くても2030年といわれています。 ・・・ログインして読む
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筆者

一色清

一色清(いっしき・きよし) 

【退任】週刊紙「アエラ」前編集長。1956年生まれ。78年朝日新聞社に入り、経済部記者、「アエラ」編集部員などを経て、2000年「アエラ」編集長。beエディター、出版本部長補佐などを経て、08年10月から「報道ステーション」コメンテーターを務めた。「アエラ」副編集長時代には、中吊り広告下の一行コピーを担当。2012年1月まで「WEBRONZA」編集長。

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