【退任】週刊紙「アエラ」前編集長。1956年生まれ。78年朝日新聞社に入り、経済部記者、「アエラ」編集部員などを経て、2000年「アエラ」編集長。beエディター、出版本部長補佐などを経て、08年10月から「報道ステーション」コメンテーターを務めた。「アエラ」副編集長時代には、中吊り広告下の一行コピーを担当。2012年1月まで「WEBRONZA」編集長。
一色清
ただ、私は、電気自動車がユーザーから積極的に選ばれるクルマになるのは、まだかなり先のことだと思います。早くても10年以上先ではないでしょうか。
電気自動車が普及するために克服しなければならない点は、大きく分ければ3つあります。一つは価格。まだ電池の値段が高いため、同じクラスのガソリン車に比べれば、補助金を入れても、倍ぐらいの値段になっています。
もう一つはインフラが整っていないことです。充電スタンドは実験段階としてポツポツとあるだけで、とても充電切れの不安に耐えられるだけの数はありません。
三つ目は、フル充電後の連続走行距離が実質100キロ程度しかないことです。三菱自動車のアイ・ミーブは走行距離を160キロとうたっていますが、これはほかに電気の必要な機器を何も使わず、最適な運転状態で稼げる距離です。普通にエアコンを入れたり、ライトをつけたりしながら走行すると、100キロ程度しか走りません。
この三つのハードルのうち、最初の二つのハードルはさほど高くありません。価格は量産効果や生産技術でまだ下げる余地はかなりあります。インフラも、電気自動車が普及すれば、それと追いかけっこで整備が進むはずです。
高いのは三つ目のハードルです。今のリチウムイオン電池を使った電気自動車では、どんなに電池の開発が進んでも、走行距離は今の1.5倍から2倍が限界だと見られています。つまり、200キロが限界で、2020年あたりで200キロが実現されるという見通しが一般的です。別の方式の電池、例えば金属空気電池が開発されれば、飛躍的に走行距離が伸びると考えられますが、今のガソリン車並みの500キロ走行が可能になるのは、早くても2030年といわれています。
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