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 日本を覆う閉塞感の正体を経済の言葉で表せばデフレ、である。

 無論そればかりではなく、巨大かつ複合的な危機が日本を覆っているのだが、あえて一言でいうなら、そういわざるをえないほど、デフレは危機の核心にある。日本はそれほどまでに戦後の先進国として初めて経験するデフレの罠に苦しみ続けている。さらに恐ろしいことには、米国や欧州もデフレに落ち込む懸念が台頭してきた。閉塞感は世界を覆うことになるのか。そうなれば、世界恐慌以来の世界デフレとなろう。いや、それは世界恐慌そのものの再現となってしまうかもしれないのだ。

 巨額の需要不足がデフレの原因であり、その結果は高い失業率や若者の就職難、企業収益の不振や高水準の自殺などに象徴される経済社会の危機そのものである。それがまたデフレの原因でもある需要不足につながるという悪循環が起きている。

 内閣府が発表した2010年4~6月の実質国内総生産(GDP)は発表の前から民間のシンクタンクなどの予測で5期連続の前期比プラス成長であるとわかっていた。それにもかかわらず、この実質成長が生活実感とかけ離れているのは、ひとえにデフレとその帰結としての経済社会の危機のせいである。デフレの継続ぶりは、名目成長率の推移をみればわかる。日本のGDPが2010年度実績で中国に抜かれることが必至なのも、この名目成長の長期低迷のせいであり、一言で言えばデフレのせいなのだ。

 以前にも書いたが、政府・日銀も、政治家も、そしてマスコミも、デフレを甘く見ていた。 ・・・ログインして読む
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筆者

小此木潔

小此木潔(おこのぎ・きよし) 上智大学教授(政策ジャーナリズム論)、元朝日新聞論説委員

上智大学教授。群馬県生まれ。1975年朝日新聞入社。富山、奈良、大阪、ニューヨーク、静岡、東京で記者をしてきた。近年は日本の経済政策や世界金融危機など取材。2009年5月から東京本社論説委員室勤務、11年4月からは編集委員も務め、14年4月から現職。著書に「財政構造改革」「消費税をどうするか」(いずれも岩波新書)、「デフレ論争のABC」(岩波ブックレット)。

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