西井泰之
2010年08月13日
自動車メーカー各社が100万円を切る小型車の発売を競う。
バブル華やかかりし頃、海外勤務から久しぶりに帰任した先輩記者が、”違和感”を話していたのを思い出す。「日本は街中、白いぴかぴかの車ばかり。ラジオからは、ピーヒャラ、ピーヒャラ、踊るポンポコリンという妙な歌が流れて」と。
白いボディーの「ハイソカ-」ブームの中で、ハイテク装備を売り物にした400万円台の「ソアラ」や、高級車では800万円台という車が飛ぶように売れていた。当時は日本中が何かに浮かれていたとはいえ、いまのこの変わりぶりは極端だ。
何が起きているのか。
「日本のモノ作りの一つのあり方として提案したい」(志賀俊之・最高執行責任者)と、日産自動車が7月に発売した新型「マーチ」。運転席のフロントシート部分だけでも、前のモデルに比べ部品は90点から55点に、作る工程も10工程を5工程に減らした。
全体の生産費用は2割から3割削減され、日本で売られる中で最も安いクラスの価格(税金込み)は「99万9600円」。生産拠点もタイやインド、中国などの新興国に置き、鋼材や部品の大半も現地調達、日本にもそこから輸入する。
トヨタも同様に新興国専用の低価格戦略車を売り出す予定。欧米や国内の市場は飽和状態、逆に「新中間層」が育つ新興国がグローバル競争の主戦場になるなかで、日本の量産車生産も新たな局面に入ったようだ。
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