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菅首相へ:使途を語らない増税は成功しない――成長や社会保障との調和を語れ

小此木潔

小此木潔 上智大学教授(政策ジャーナリズム論)、元朝日新聞論説委員

 残念ながら菅首相が参院選で語った消費増税の論理では、「増税の使い方を間違えて景気を失速させる」可能性が大きい。そのため、国民の不安をあおり、政治的にも経済的にも通らない。選挙結果が映し出しているのは、単なる説明不足ではなく、首相の「消費増税の論理」そのものの甘さ、欠陥だと考えて出直すべきである。

 消費税問題は、マクロ経済政策と財政再建、社会保障・人材育成といった連立方程式の解として解かねばならないのに、首相は「財政再建」という一本の方程式にこだわりすぎているように見える。菅直人首相の妻である菅伸子さんの著書「あなたが総理になって、いったい日本の何が変わるの」(幻冬舎新書)からも、そうした危うさがうかがえる。

 ひとことでいえば、首相は増税を財政再建のためだと単純に考えているふしがあるのだ。だとすれば、そうした増税は失敗するとしか思えない。そうした偏りを是正し、「強い経済、強い財政、強い社会保障」の一体的実現、生活第一、雇用創出という首相本来の「第3の道」路線を貫けば、成功できるだろう。財政再建と成長の両立、それを雇用創出、社会保障や教育の充実と結びつけ調和する道を示してこそ、消費増税は意味があるし、政策として、また政治路線として成功する。そういう立体的構造を経済が不得手の首相は残念なことに理解できていないのではあるまいか。 ・・・ログインして読む
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筆者

小此木潔

小此木潔(おこのぎ・きよし) 上智大学教授(政策ジャーナリズム論)、元朝日新聞論説委員

上智大学教授。群馬県生まれ。1975年朝日新聞入社。富山、奈良、大阪、ニューヨーク、静岡、東京で記者をしてきた。近年は日本の経済政策や世界金融危機など取材。2009年5月から東京本社論説委員室勤務、11年4月からは編集委員も務め、14年4月から現職。著書に「財政構造改革」「消費税をどうするか」(いずれも岩波新書)、「デフレ論争のABC」(岩波ブックレット)。

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