メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

[7]JAL更生計画を撃つ(1)本当の争点

大鹿靖明 ジャーナリスト・ノンフィクション作家(朝日新聞編集委員)

 

■大鹿靖明『堕ちた翼 ドキュメントJAL倒産』(朝日新聞出版)発売中!重版出来!→お求めは、amazon.co.jp楽天ブックスでどうぞ!

 

 日本航空(JAL)と企業再生支援機構は8月31日夕方、東京地裁に同日提出する更生計画を東京・千代田区で発表する。更生計画の骨子は8月2日、すでに主要銀行団に提示され、それによれば、(1)銀行団の債権放棄率を87・5%とする、(2)支援機構は3500億円をJALに出資する、(3)主力銀行団が3192億円を融資する、といった内容だ。

 1月19日に会社更生法を申請してから、もう7カ月も経つ。あのときの記者会見では、債権放棄率83%、機構の出資は3000億円、とされていた。それをほんのわずか上積みするのに、こんなにも時間を浪費してしまった。解散に追い込まれたJAL再生タスクフォースの中核メンバーは「自分は負け組だから言いたくないが」と前置きしつつ、「こんなに時間をかけていたら緊張感がなくなる。企業再生にはスピード感が重要なのに、いったい何をやっているのだろう」と苦言を呈する。

 いったい、何が難航する「争点」だったのだろう。

 一つは、再建手法に伴う技術的な問題点である。

・・・ログインして読む
(残り:約2203文字/本文:約2734文字)