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[8]JAL更生計画を撃つ(2)極秘会議の全貌

大鹿靖明 朝日新聞経済部記者

 

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 予算要求を控えて地方から上京してきた陳情団でごった返す真夏の国土交通省に、場違いなダークスーツで身を包んだ金融マンたちが1人、また1人と吸い込まれていった。彼らが向かったのは国交省4階の省議室と呼ばれる会議室だった。扇子でパタパタと涼をとる陳情団の横を急ぎ足で通り抜けていく紳士たちの姿に、勘のいい2、3の報道機関の記者たちは「異変」を感じ取っている。

 8月3日、火曜日、午後1時半。東京の最高気温は33・3度に達し、うだるような暑さだった。

 男たちが呼び集められたのは、会談内容が極秘の「JAL関係副大臣連絡会議」だった。秘かに何度か行われてきたが、この日は、JALとその事業管財人である企業再生支援機構が前日の8月2日に主要銀行団を相手に更生計画の骨子を示したのを受けて開かれたものである。国交省、財務省、内閣府の3副大臣に、JALの支援決定をしている企業再生支援機構、それにメーンバンクである政府系金融機関の日本政策投資銀行の担当幹部たちが集まった。もちろん国交省航空局の幹部官僚も勢ぞろいする。

 会議室で、座長役をつとめた国交省の三日月大造副大臣が口火を切った。「昨日(8月2日)、更生計画案が主要金融機関に提示されたことを踏まえ、残された論点や今後の方向性について意見交換させていただきたい」。

 出席者たちは、自分たちの話す内容が「報道されてはまずい事柄だ」と熟知していた。配布された資料に「厳秘」「対外厳秘」などと記され、すべてはその場で回収されている。会議の存在自体は、当日の日経朝刊に「日航再建巡り、3副大臣がきょう会合」と全文168文字のベタ記事で小さく報じられてはいた。そのせいもあってか、廊下にはテレビカメラ1台と数人の記者が待ちかまえている。

 三日月は午後2時40分の閉会直前、「本日の会合については……」とおもむろに切り出した。 ・・・ログインして読む
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筆者

大鹿靖明

大鹿靖明(おおしか・やすあき) 朝日新聞経済部記者

1965年、東京生まれ。早稲田大政治経済学部卒。88年、朝日新聞社入社。アエラ編集部などを経て現在、経済部記者。著書に第34回講談社ノンフィクション賞を受賞した『メルトダウン ドキュメント福島第一原発事故』を始め、『ヒルズ黙示録 検証・ライブドア』、『ヒルズ黙示録・最終章』、『堕ちた翼 ドキュメントJAL倒産』、『ジャーナリズムの現場から』がある。近著に『東芝の悲劇』。キング・クリムゾンに強い影響を受ける。

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