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 円高が進行している。しかし、現下の動きは米欧経済・金融の先行き不透明感を映じたドル安であり、ユーロ安だ。

 アメリカはサブプライムショック、さらにリーマンショックに直撃され、深刻な景気悪化に陥った。もっとも、政府・当局の果断かつ強力な対策によって底割れは回避された。昨年半ば以降、マーケットでは次第に回復期待が盛り上がった。株価が上がりドルは上昇した。危機は去ったかに思われた。しかし今春、回復期待は急速に後退した。バーナンキ連銀議長は、7月21日の米上院銀行委員会でアメリカ経済の先行きは異例なほど不確かなままだと明言した。株価とドルは支えを失い、下落に転じた。

 ヨーロッパ経済は、アメリカ発のショックに直撃された。しかし、各国の積極的な経済金融政策によってV字型回復を果たした。もっとも、景気対策は民需の自律的回復に繋がらない限り、一時的効果にとどまり、財政赤字を残す。昨年末以降、ギリシャやポルトガルなど南欧諸国の財政問題に火が着いた。以来、ユーロ安が進行してドイツは輸出が盛り上がっているが、内需に動意は見られない。輸出増加のメリットを享受できない大半の欧州各国にとってユーロ安は単なる輸入コスト高であり、経済反転の兆しは看取されない。

 財政再建は、増税にせよ支出削減にせよ、直接に総需要を減らし、景気を押し下げる。税収は伸びず、失業や生活保護などセーフティネット関連給付が増加する。その結果、財政問題は改善どころか、一段と悪化するリスクすら排除されない。加えて、ゼネストなど国民各層からの反発が強まれば、問題は社会・政治イシューにまで拡大する。

 一方、わが国経済はどうか。 ・・・ログインして読む
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筆者

藤井英彦

藤井英彦(ふじい・ひでひこ) 株式会社日本総合研究所 調査部長/チーフエコノミスト

【退任】(株)日本総合研究所 理事/チーフエコノミスト。83年東京大学法学部卒業。同年住友銀行入行。90年より(株)日本総合研究所、11年から現職。共著に「オバマのアメリカ 次なる世界経済の行方」(東洋経済新報社)、「2006 図解 日本総研大予測」(徳間書店)、「図解 金融を読む辞典」(東洋経済新報社)。

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