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【アジアな目】 円相場は株式や商品市場とつながっている

小原篤次

小原篤次 大学教員(国際経済、経済政策、金融)

 今回の円高の異例さは、期間の長さである。

 円高を「1ドル=100円未満の水準」と定義すれば、2009年4月14日以降、すでに1年半が経過した。すでに会計年度で2期目、6四半期目に突入した。1995年の場合、1月12日から9月8日まで8カ月間だった。

もっと早く政策を検討すべきだった。

 図表1は各国通貨の変動率を対ユーロ(EUR)と対ドル(USD)で整理した。期間は、1ドル=100円割れが始まった月の初め(2009年4月1日)から、リーマン・ショックが起

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きた月の初め(2008年9月1日)から、そして年初来からとした。為替変動率は期間によって異なる。しかし、どの期間を見ても、円高は突出している。年初来では、日本がライバル視する韓国の通貨ウォンが安いのも、懸念材料とされている。

 そして、図表2は、為替が、株価指数に近い水準で価格変動することを示した。為替や外貨建て債券は、株式に匹敵するリスク資産であることが分かる。為替レートの変動性は、少なくとも1990年代から簡単に観察できる。典型例は、1997年のアジア通貨危機や、1998年のロシア金融危機である。1990年代後半の2年間に比べ、今回、変動性

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が高いのは、資源国や欧州、南米の通貨である。同時に、名目金利が高い国が含まれている。データは、株価指数と為替レートの週間変動率を計算し、それを「日本株マイナスドル円レート」のように2つの週間変動率の差で示した。株式は日経平均株価指数や米NYダウ工業株指数を用いた。ただし、投資収益率の比較ではないため、週間変動率からマイナスを削除している。

◇行き場のない中央銀行の低コスト資金◇

 世界金融危機で先進国は金融緩和政策を維持している。低コスト資金は企業倒産や銀行破たんなど信用不安の連鎖の防止に大きな効果があった。しかし、先進国では景気低迷期のため、設備投資に回る資金がすべてではない。すると、低コストの資金の一部は個人の住宅ローンのほか、ファンドなどを通じて、不動産投資、商品や株式市場(株式による資金調達、新規株式公開、企業合併・買収などを含む)に還流し、リターンを期待することになる。中央銀行の資金は、投資マネーに転換され、資産価格を押し上げることで、経済全体のリスク許容度を改善する効果がある。リーマン・ショックから半年が経過した昨年3月以降、こうした循環が始動した。中国など新興国や資源国は、実体経済でも、いち早く力強い景気回復を示した。米国でも「出口論」が議論され始めた。 ・・・ログインして読む
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筆者

小原篤次

小原篤次(おはら・あつじ) 大学教員(国際経済、経済政策、金融)

長崎県立大学国際情報学部准教授。1961年、大阪府堺市生まれ。同志社大学法学部卒、国立フィリピン大学修士。朝日新聞社、チェースマンハッタン銀行(現JPモルガン・チェース)、みずほセキュリティーズアジア初代株式調査部長、みずほ証券リサーチ&コンサルティング投資調査部副部長を経て現職。【2015年12月WEBRONZA退任】

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