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追加経済対策とともに、成長戦略を始動せよ

武田洋子

武田洋子 三菱総合研究所チーフエコノミスト

 8月30日、日本銀行による追加金融緩和策と政府による追加経済対策の基本方針が出揃った。

 ほぼ事前予想どおり、日本銀行は、資金を政策金利(0.1%)で貸し出す新型オペ(固定金利方式の共通担保資金供給オペレーション)について、資金供給の拡大と期間6ヶ月物の新規導入(これまでは期間3ヶ月)を決定した。政府の追加経済対策ではエコポイント制度の延長や雇用対策の強化が盛り込まれた。

 これらの追加政策による景気の押し上げ効果は、さほど大きくはないとみられる。中長期ゾーンの金利は既に低水準で推移していること、またエコポイント制度を利用した家電の購入も一巡しつつあるためである。

 しかし、政府・日銀がようやく揃って景気の底割れを防ぐという姿勢を示したことの意味は大きい。市場で燻っていた「日本の当局者は米国に比べて政策対応に消極的」との不信感の後退に繋がろう。また実体経済の面でも、エコポイント制度の延長により、海外経済の減速と国内の政策打ち切りがシンクロする最悪の事態は回避される可能性は高まる。

 ただ、先行き日本の財政に大型の経済対策を繰り出す余裕などない。

 足元の危機を回避することが先ずは優先されるが、同時に先を見据えて自律的な回復へ移行できるような環境を整えていくことこそ重要だ。6月18日に新成長戦略が閣議決定されたが、残念なことに、

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