竹信三恵子
2010年09月13日
雇用重視を唱える菅首相が、9日の新成長戦略実現会議の初会合で、非正社員の正社員への転換などに取り組んだ企業への法人税減税を検討するよう指示した。
雇用拡大と法人税減税をからませたのは、財政難で補助金による刺激が手詰まりになっていることもあり、経済界が求めている法人税減税と抱き合わせで事態の打開を図ろうとの策だ。税を払っている企業、つまり、もうかっている企業が対象になることで、企業利益を雇用に回す仕組みを作る狙いもあるだろう。
だが、問題は、雇用の受け皿として企業が十分に機能しなくなっている側面があることだ。
正社員に切り替えた企業を減税の対象とすると、非正社員が多かった企業の方が正社員に切り替える余地は大きい。これでは非正社員が多かった企業が有利になり、正社員を多く雇用していた会社は不利にならないだろうか。また、各企業の社員の雇用形態や増減を、行政は把握できるのか。派遣社員の数など人事部は把握しておらず、会社自体が要員を正確につかんでいないことも多い。
さらに気がかりは、優遇税制だけでは、企業の外に置かれ続けた人々の雇用創出を支援できないことだ。
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