小此木潔(おこのぎ・きよし) ジャーナリスト、元上智大学教授
群馬県生まれ。1975年朝日新聞入社。経済部員、ニューヨーク支局員などを経て、論説委員、編集委員を務めた。2014~22年3月、上智大学教授(政策ジャーナリズム論)。著書に『財政構造改革』『消費税をどうするか』(いずれも岩波新書)、『デフレ論争のABC』(岩波ブックレット)など。監訳書に『危機と決断―バーナンキ回顧録』(角川書店)。
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
小此木潔
円を売って意地を見せた。遅まきとはいえ、単独介入の決断を買いたい。市場関係者にも足元を見られ続けてきた菅政権だが、菅首相が代表選で圧勝し、自信がついたのだろう。喜ばしい限りである。菅氏は「強い小沢さんに勝つことができれば、内外で政策実行力をつけることができる」という趣旨のことを日本記者クラブ主催の代表選討論の締めくくりで語っていたが、それが実行に移された。
もちろん、これで円高の流れが一気に反転することなど期待すべきではない。実質実効為替レートで見れば、円相場はプラザ合意以降の25年間の平均あたりにあるというデータもある以上、いまの円相場の水準が高すぎると断定することはできない。しかも米国も欧州も、ドル安、ユーロ安を容認する姿勢を示してきた以上、大きな変化を期待すること自体が幻想ともいえよう。
それでも、