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為替市場は投機の場所-アジアで最も遅い日本の介入

小原篤次

小原篤次 大学教員(国際経済、経済政策、金融)

 15日、為替介入に踏み切ったのは日本だけではない。

 マレーシアも、通貨リンギが対ドルで、アジア通貨危機が起きた1997年10月以来の高値水準にあり、介入したとみられている。マレーシアは、アジア通貨危機後の対策で、一時変動相場をやめて固定相場へ移行、資本規制を実施した経験があり、比較的投機の対象とならなかった。

 しかし、ここに来て介入に踏み切ったようだ。日本の介入とタイミングを合わせた可能性も否定できない。マレーシアは2005年7月、中国の人民元改革と同じ時期に、為替制度を変更した実績もある。

 円高対策としての為替介入は、日本銀行が8月30日、臨時の金融政策決定会合を開催し、追加金融緩和に踏み切った段階で、政府や財務省の中で、介入も政策オプションに入っていたのだろう。

 最終的には、民主党の党首選の結果を受けた円高の急伸、つまりマーケットが介入を促す形となった。複数通貨によるドルの総合的な価値を考えると、人民元相場が15日まで5営業日連続で人民元高・ドル安に動いたことも、円安・ドル高を目指す日本の介入には有利だった。

 各種報道から、4月以降のアジアの為替介入を数えると、韓国は16日、タイは15日、インドネシアは9日、フィリピンは8日、シンガポール・台湾は2日に及ぶ。アジアで自国通貨の急激な増価を抑えるための試行錯誤が続いている。

◇成長なき為替市場は投機の場所◇

 まず、アジアの中で、日本の介入実施が相対的に遅れたことだ。民主党政権が、断固たる姿勢を示すのが遅れたとの批判から免れないだろう。

 確かに、日本にとって米国は最も重要な同盟国である。米国政府への配慮、政策の連携は重要だろう。だが、 ・・・ログインして読む
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筆者

小原篤次

小原篤次(おはら・あつじ) 大学教員(国際経済、経済政策、金融)

長崎県立大学国際情報学部准教授。1961年、大阪府堺市生まれ。同志社大学法学部卒、国立フィリピン大学修士。朝日新聞社、チェースマンハッタン銀行(現JPモルガン・チェース)、みずほセキュリティーズアジア初代株式調査部長、みずほ証券リサーチ&コンサルティング投資調査部副部長を経て現職。【2015年12月WEBRONZA退任】

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