メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

RSS

 日中間の尖閣諸島問題は中国船長の釈放で転機を迎えたように思われたが、また謝罪や賠償などの問題で揉め始め、逆に行き詰った感が強くなっている。

 ここまで中国政府が強く出てくることの原因はいろいろあるが、一連の動きを見る限り日本政府の対応が独善的なところもあったように思う。今の日中両国はお互いに次の一手を見極め、カードを出そうとしているが、下交渉なしでは国際政治の社会では途轍もないリスクが孕んでいるのはいうまでもない。

 今の苦境を打開するためには、まず日本政府の対中戦略をもう一回見直すことだ。中国の現状を理解し、一貫した対中戦略を再構築しないといけない。そしてその戦略に具体的な肉付けを行うことによって可視化を推進していくことが必要になってくる。こういう意味では民主党はいまだ野党から脱却できないでいるといえるだろう。その分、官僚の助言は重要になってくるが、残念ながら担当省庁の外務省も青写真を描けないでいる。

 中国の台頭に伴い、間違いなく日中関係は新しいステージに入ろうとしている。日米中という3カ国のトライアングルがよく言われるが、しかしながら、日米があっての日中という発想は必ずしも今の国際情勢に合わない。日米関係や米中関係も吟味しながら、日本がどうやって中国に付き合っていったほうがいいか、という視点が必要である。外務省も古い発想を捨て、斬新なパラダイムにおいて日中関係を模索する必要がある。

 今の菅直人政権の中国とのパイプは、かつてないほど細くなっている。平時はその弊害が表に出てこないが、有事の場合、そのインパクトが絶大だ。今回の衝突がここまで拡大されたのは、日本の初動に問題があるようにみえるが、その後のやりとりも、一方的な思い込みなどによるアクションが散見され、衝突のヒートアップに繋がった面があることを否めない。その背景として、パイプ役の不在が大きく影響していることは確かだ。今後も似たような事態が起こらない保障がないだけに、斡旋余地のない局面を回避できる「緩衝材」となるパイプ役は不可欠だ。特にタカ派の前原誠司氏が外相になった今、そのパイプ作りは今後の日中外交にとって最重要課題になるだろう。

 最後に日中双方のマスコミに言いたい。 ・・・ログインして読む
(残り:約257文字/本文:約1183文字)

全ジャンルパックなら本の記事が読み放題。
Journalismの記事も読めるのは全ジャンルパックだけ!


筆者

肖宇生

肖宇生(しょう・うせい) フロンティア・マネジメント株式会社事業開発部マネージング・ディレクター

【退任】フロンティア・マネジメント株式会社事業開発部マネージング・ディレクター。1996年大阪大学経済学部、2001年一橋大学大学院経済学研究科卒業(経済学修士)。精密機器メーカーで中国携帯市場向けマーケティングを担当後、国内シンクタンクで中国市場のコンサルティング、ファンド会社で中国市場のプライベート・エクイティ投資に従事。日本総合研究所創発戦略センター主任研究員を経て、2011年4月より現職。

肖宇生の記事

もっと見る