城繁幸
2010年09月30日
法人減税について議論が盛り上がっている。直接的に誰かの既得権が絡む問題でもないので、ほぼ決まりだろう。あとは幅とタイミングだが、とりあえず5%程度、段階的に10%あたりまで行くのではないか。
ただ、即効的というほどの目に見える効果は期待できないと思われる。そうでなくても日本はアジア新興国に地理的に近く、企業が移転しやすいというハンデがあるのにくわえ、そういった新興工業国の法人税率は20%前後と、先進国より一段低い水準だ。5%程度では焼け石に水だろう。
さらに言うなら、財政再建も同時並行的に進めねばならず、人口構成を考えても社会保障給付のさらなる伸びは確実だ。法人税を下げなければならないのは確かだが、そういった若い国に租税競争で勝てる見込みは薄い。
逆に、まだまだ見直す余地が大きいのは、雇用コストの方だ。日本の場合、円高による人件費自体の高騰に加え、終身雇用という縛りが企業の雇用意欲を大きく殺いでしまっている。
たとえば年収500万円の従業員(30歳)を雇用する場合。
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