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攻める羽田、守る成田の新ライバル物語

一色清

一色清

 「羽田をあおれば、成田が必死になる。いいことだ」。

 国土交通省の幹部から、こうした言葉を聞いた航空業界の人がいます。いったんは国際空港の座から降りた羽田空港ですが、その立地から国際ハブ空港への期待が高まる一方です。そして成田空港は、日本の国際空港の主役の座は譲らないと懸命になっています。このライバル関係によって、互いに利便性の高い空港になれば、日本にとって悪い話であるはずがありません。

 羽田空港が国際空港の旗を降ろしたのが32年前、私にとっては朝日新聞社に就職した年です。もちろんそれは成田空港が開港した年でもあります。私の会社人生と同じ32年たって、首都圏に本格的な国際空港が二つ併存する新しい時代が10月末に幕を開けるわけです。

 私は成田空港が開港して3年目から2年ほど成田支局で勤務しました。当時から、成田の人たちの羽田への意識はすごいものがありました。成田は反対闘争が続いていて、「遠くてややこしい空港」というイメージが定着していました。このころよく「こんなに不評なら、羽田をもう一度国際空港にして、成田は貨物専用空港になるんじゃないか」という声が空港関係者や成田市民から聞かれました。成田の人たちは心配性なのです。実は今も「ゆくゆくは成田は貨物中心の空港になるのではないか」というささやきが一部にあります。そこには成田関係者のぬぐいがたい「人々の羽田びいき」への不安があります。

 実際には、相当期間、成田が国際空港の主役であることは約束されています。羽田が国際化すると言っても、2013年時点で、年間発着回数44万回のうち9万回が国際線になるだけです。一方、成田は、発着できる時間を延ばすなどして、2013年には今の22万回を30万回にまで増やす計画で、このうち国際線が27万回くらいと想定されています。羽田は、今の4本の滑走路の次の拡張計画はまだありませんので、かなりの間、羽田9万回対成田27万回という割合になります。やはり主役は成田です。

 ただ、それでも成田が安心できないのは、 ・・・ログインして読む
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筆者

一色清

一色清(いっしき・きよし) 

【退任】週刊紙「アエラ」前編集長。1956年生まれ。78年朝日新聞社に入り、経済部記者、「アエラ」編集部員などを経て、2000年「アエラ」編集長。beエディター、出版本部長補佐などを経て、08年10月から「報道ステーション」コメンテーターを務めた。「アエラ」副編集長時代には、中吊り広告下の一行コピーを担当。2012年1月まで「WEBRONZA」編集長。

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