藤井英彦
2010年10月05日
主因は人口流出だ。例えば09年の▲18.3万人のうち、自然増減を除いた残り▲12.4万人はすべて国内から海外への人口流出による。国内への流入数から海外への流出数を差し引いた人口流出、いわゆる社会増減を日本人と外国人に分けると、09年では日本人が▲7.7万人、外国人は▲4.7万人だ。
日本人の海外流出は2000年代に入り定着し、毎年10万人規模で続いてきた。例外は01年と03年の2年だけだ。01年はアメリカで9.11事件が起き、03年はSARSが流行した。しかし、いずれも翌年には再び10万人規模で流出した。
一方、外国人は、08年まで毎年6万人前後国内に流入してきた。しかし、09年は一転して4.7万人流出した。
根底には、国内経済の停滞と新興国の飛躍的台頭がある。就業機会が豊かだ、キャリア形成に役立つ、飛躍のチャンスに恵まれることを理由に、国内から新興国など海外へ移住する日本人が増える一方、中国人やブラジル人など就労を求めて来日していた外国人が自国に戻ったり、日本以外の国々に向かい始めたという構造変化である。
さらに、そうした動きは、相互作用を通じて人口減を加速させるというメカニズムを生み出しかねない。
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