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公務員は高給取りか 労働市場の硬直性こそ問題

城繁幸

城繁幸 「Joe's Labo」代表取締役

 公務員人事制度改革の議論が迷走している。どうやら政治家の中でも、どこが論点でそれらをどう変えていくべきかが共有されていないように見受けられる。

 まず、「公務員は高給取り」というイメージがあるが、実際にはそれほど高いわけではない。財務省平成22年度予算によれば、国家公務員約58万人で約5兆円、地方公務員約237万人で約21兆円、トータルで27.6兆円というのが公務員全体の人件費であるが、OECD加盟諸国と比べると、人員数及び人件費総額共に最低水準である(OECD Government at a Glance 2009)。ただ、一人頭では高い方なので、おそらく硬直した労働市場の中で、それなりに無理をしている公務員がいるものと思われる。

 こういう状況でスト権を与えて労使交渉したら、個別賃金の抑制はできるかもしれないが、逆に適正な人員配置を求められるだろうから、総人件費は今と大きくは変わらないはずである。

 また、よく「民間の雇用労働者賃金との格差」というニュースが話題となるが、これは民間のフルタイム以外の雇用形態も含まれたものであり、単純に比較するのは適当ではない。

 もっとも、筆者自身、公務員の賃金は見直すべきだと思う。ただ、それは人事院勧告による一律引き下げというようなものではなく、一部の明らかなもらい過ぎ公務員を賃下げし、昇給が抑制されがちな若年者や、パート労働法の対象にすらなっていない非正規公務員に分配するという意味での流動化である。要するに、これまでは属人給として景気を見ながら適当に配ってきた原資を、職務給として仕事内容に応じた対価を支払うということである。

 ただし、これはとてつもなくハードルの高い政策だ。

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