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国内経済が低迷、苦境のオバマ政権

藤井英彦

藤井英彦 株式会社日本総合研究所 調査部長/チーフエコノミスト

 中間選挙が目前に迫ってきた。民主党は総動員体制で選挙戦を展開し、一部では盛り返す動きもみられる。しかし、各種世論調査によれば、総じて支持率は過半を割り込み、劣勢が続く。とりわけ深刻な問題はオバマ政権、あるいはオバマ大統領に対する支持が回復する兆しがみられないことだ。

 背景には様々な要因が指摘されよう。まず対外政策では、大統領選で公約した撤兵計画が円滑に進まず、イラク情勢やアフガニスタン情勢は依然として不透明だ。一方、国内政策をみると、大統領就任一年目、医療保険制度改革に全力を傾けて注力したものの、その評価は低い。本来、アメリカが進むべきではない大きな政府路線だとする反対論に加え、このところ小さな政府への回帰を主張するティー・パーティー運動が全米で盛り上がる。さらに、チェンジを旗印にしたものの、目立った変革は何ら行っていないとして、第3期ブッシュ政権と揶揄する向きすらある。

 根底には国内経済の低迷がある。とりわけアメリカの場合、経済成長の実現が政府の役割という考え方が強いからだ。例えば同じ民主党のクリントン元大統領をみよう。スキャンダルもあったが、経済成長によって雇用の創出に成功し、90年代初めの深刻なジョブレス・リカバリーを克服した結果、支持を固め再当選した。

 しかし、現政権は未だ経済的成果を挙げるまでに至っていない。株価は就任時のNYダウ9千ドル割れを脱して昨年末以降、1万ドル台で推移しているものの、実体経済に回復の兆しは見当たらない。まず内需は、09年2月に打ち出した8千億ドルの景気対策によって09年半ば以降、持ち直しに向かったものの、本年に入り、調整色が強まっている。議会予算局によれば、すでに景気対策の効果は一巡し、本年央以降、景気下押しに作用し始めている。

 次いで外需についてみても、状況の改善は期待薄だ。まず輸出は、

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