小森敦司
2010年10月28日
生物多様性への対応なしに企業経営は成り立たない――名古屋市で開かれている生物多様性条約第10回締約国会議(国連地球生きもの会議=COP10)は、実はそんな命題を企業に突きつけているのだが、日本企業の多くは、植林にすこし寄付をすれば十分だ、などと考えているように筆者には思えてならない。
だが、その命題に真摯(しんし)に挑む企業も出てきた。その事例として、COP10を前にインタビューしたリコー・近藤史朗社長の話を、このWEBRONZAでもぜひ、紹介したい。
同社は09年、生物多様性に与えている影響を削減するとともに、あらゆる組織と連携して保全活動の輪を広げることなどを掲げた活動方針を発表した。なぜか。近藤社長はこう言うのだ。
「森林がなくなれば、多様な生きものが織りなす営みの結果としての人間社会は、持続不可能になる。(リコーは)もうかっていればいい、という会社でありたくない。稼ぐにも、地球に対して仁義がいる」。このため、多様性に配慮していないと疑われたインドネシアの製紙会社からの紙の調達を実際にやめたという。
「地球に対して仁義がいる」とは、なんという考え方だろう。では、「いいモノを安く、どんどん、という日本型モノづくりを見直さないといけないのか」。筆者のそんな質問に対する近藤社長の答えにも驚く。
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