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日産自動車の産業革命

永井隆

永井隆 ジャーナリスト

 走行中に二酸化炭素(CO2)を一切排出しない電気自動車(EV)が、本格的に走り出す。仕掛けているのは日産自動車だ。12月に5人乗りEV「リーフ」が、日米で発売される。

 神奈川県横須賀市の追浜工場では、既に10月から年間5万台を目指して生産が始まっている。EVが1万台を超えて量産されるのは「リーフ」が世界初。

 ただし、日産の狙いは「ゼロエミッションカーで世界のリーダーになる」(カルロス・ゴーン社長)ことだけではない。EVの販売以上に、実は心臓部であるリチウムイオン電池のトップメーカーを目指している。ライバルの自動車メーカーにも積極的に外販し、「電池が売れるなら、リーフの販売に影響してもかまわない」(日産の首脳)方針だ。

「リーフ」に搭載されたリチウムイオン電池は、NECグループと共同開発したもの。セルはレトルトカレーに似た軽量なラミネート型。正極には、安全性が高いマンガン材を使っている。形状的に車両設計の自由度を広げられ、放熱性に優れているなどが特徴だ。

 現在、電池の主要部品である電極をNECが生産して、日産とNECの合弁会社オートモーティブエナジーサプライ(AESC、神奈川県座間市)が電池を組み立てている。ちなみに、ハイブリッド車であるトヨタ「プリウス」、ホンダ「インサイト」などに搭載されているのは、旧世代のニッケル水素電池。リチウムイオン電池と比べ、サイズが大きく電気を大量にためられないものの、価格は安い。

 自動車用のリチウムイオン電池は、

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