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国際会計基準への移行で加速する低収益業務の見直し 

根本直子

根本直子 早稲田大学 大学院経営管理研究科 教授/アジア開発銀行研究所、 エコノミスト

 日本の上場企業に国際会計基準を適用する方向で議論が進んでいる。

 会計基準の変更は、企業の財務諸表の見え方を大きく変化させるが、さらに財務戦略、事業戦略にも変化をもたらす。例えば退職給付制度の変更、グループ会社の再編、価格変動の大きい資産の見直しなどが想定される。

 金融庁の企業会計審議会は、2009年6月、上場企業について国際会計基準(IFRS)の任意適用を2010年3月期から認めるとともに、2012年を目処に、強制適用するかどうかを判断すると発表した。強制適用となった場合、2015年又は2016年の移行が予定されており、上場企業の多くはすでに準備を進めつつある。

 欧州では2005年からIFRSが全面的に導入され、また米国でもIFRSへの移行が見込まれている。そうした中で、日本企業のIFRS適用は、投資家にとって国際的な比較がしやすくなる、というメリットがある。一方で、IFRSは「原則主義」であり、詳細な適用ガイダンスがない。企業の決算数値は、各社の見積もりや前提の置き方などによって左右される。

 例えば日本基準では、

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