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 世界デフレを心配すると同時にバブルの心配もしなければならないとは、なんという混乱の時代に私たちは生きていることだろうか。ただしこれには理由がある。その構造を理解することなしには政策のあるべき姿を語るべきでない。

 バブル再来を心配(一部の人々は期待も?)する理由にあげられるのは、先進国の金融緩和である。それも「超」がつく、「非伝統的」手法を駆使しての、異常な金融緩和である。米プリンストン大のポール・クルーグマン教授の言葉を借りれば「不思議の国のアリスの世界」、つまり「あべこべの国」といっていいくらい、禁じ手も許されるような「非常時」であり、だからこそ未曽有の、大恐慌以来の危機なのである。ついでにいえばクルーグマンも言うように「こんな世界から早く抜け出したい」。だがそうするためには、残念ながらますます異常きわまりない分野へと比重をかけているように見える政策にも、果敢に挑戦せざるをえないのである。「そういうことは中央銀行がやるべきでない」という批判は、この段階では中央銀行への応援歌としては古典的すぎる。中央銀行幹部は心の底では歓迎するだろうが、それを実行できない不遇に涙するのではあるまいか。いわばひいきの引き倒しだろう。

 この世界危機そのものが

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筆者

小此木潔

小此木潔(おこのぎ・きよし) 上智大学教授(政策ジャーナリズム論)、元朝日新聞論説委員

ジャーナリスト、上智大学教授。群馬県生まれ。1975年朝日新聞入社。富山、奈良、大阪、ニューヨーク、静岡、東京で取材。論説委員、編集委員を経て2014年から現職。著書に『財政構造改革』『消費税をどうするか』(いずれも岩波新書)、『デフレ論争のABC』(岩波ブックレット)。監訳書に『危機と決断―バーナンキ回顧録』(角川書店)

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