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[13]ソフトバンク孫正義社長の「光の道」騒動からうかがえるNTTの停滞

大鹿靖明 ジャーナリスト・ノンフィクション作家(朝日新聞編集委員)

 開口一番出てきた言葉は実に刺激的だった。

「国賊だね。本当に。ありえない話です」

 11月22日正午ごろ、総務省地下の講堂で約1時間半に渡って開かれた「グローバル時代におけるICT政策に関するタスクフォース」の部会(第17回会合)が終わったときのことだ。傍聴人として記者たちと交じって会議のやりとりを聞いていたソフトバンクの孫正義社長は、席を立つや否や、そう吐き捨てるように言った。「国賊」という強い非難の言葉は、このタスクフォースの構成員たちにむけられたものだった。

 総務省のタスクフォースとは、原口一博前総務相が日本の情報通信技術(それを略称で「ICT」と呼ぶ)の国際競争力を高めようと設けたものである。原口氏は2015年ごろまでに日本の全世帯に超高速ブロードバンド環境を整備する「原口ビジョン」をまとめ、その具体的な方策立案とNTTの組織形態の見直しを検討するようタスクフォースに指示した。

 こうした機運に諸手を挙げて賛同してきたのが、かねてからNTTの光ファイバー網の「開放」を主張してきた孫社長だ。ソフトバンクが代理店として販売しているアップルのiPhoneやiPadを使えば分かるが、新時代のスマートフォンや電子書籍は従来の携帯電話やウィンテルベースのパソコンとは明らかにフェーズが変わった商品である。ネットや写真、動画など大量のデータのやりとりが街中や家庭でスムーズにおこなわれることが前提として設計された商品のため、通信トラフィックは指数関数的に累増せざるをえない。つまり孫氏は、そうした通信トラフィックをまかなうため、光ファイバー、もしくは高速無線という基幹インフラ整備が欠かせないと見ている。

 ところが、NTTは2015年までに光を全世帯に普及させることは「不可能」(三浦惺=さとし=社長)と消極的で、実現は2025年以降と言っている。採算に合わないと離島や過疎地に光をひくのを渋ってもいる。基本料金は月額5000円と高く、下げる気はない。

 こうしたやる気のない経営者のもとでは、

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