カルロス・ゴーン日産自動車社長×一色清・WEBRONZA編集長
2010年12月09日
テレビ朝日系「報道ステーション」で放送されたカルロス・ゴーン日産自動車社長のインタビュー。日産が満を持して世に送る電気自動車「リーフ」に込められたゴーン氏の狙いと思いとは。本放送ではすべてを紹介できなかったが、一色清・WEBRONZA編集長(朝日新聞編集委員、報道ステーションコメンテーター)によるインタビュー全40分を、ノーカットで再現する。※11月24日、横浜の日産自動車本社で=12月2日放送。
ゴーン (日本語で)一色さん、はじめまして。
一色 今日はよろしくお願いいたします。(電気自動車の新製品)「リーフ」が、いよいよ12月20日に日本国内で発売となりますね。
ゴーン 私たちは一生懸命、非常に長い時間をかけて、がんばってきました。やっとすばらしい製品を得ることができて、本当にうれしいし興奮しています。私自身も非常に興奮しています。
一色 楽しみです。ではインタビューを始めましょう。こちらへ、どうぞ(席に着く)。先日、私もリーフに試乗させていただいたのですが、とても快適な車ですね。この車は日産にとってどのような意味のある車でしょうか?
ゴーン リーフは、私たち日産自動車にとって非常に重要な車で、私たちのテクノロジーの柔軟さを示す存在です。私たちはバッテリーの開発に長い時間をかけて取り組んできましたが、ようやく、すばらしいバッテリーができあがりました。私たちはいよいよ、自分たちの「夢」を象徴する車を世に出そうとしています。自動車産業において、いかにしてゼロ・エミッション(廃棄物を排出しない完全リサイクル)を達成するかという夢です。
私たちの業界では、ずっと電気自動車(EV)を夢見てきました。この産業が始まったころから持ち続けてきた夢ですが、テクノロジーがまだ準備できていなかったので、実現は不可能でした。
ところが現在、そのテクノロジーは準備されました。日産のテクノロジーが現実のものと示すときがやってきたということは、私たちにとって非常に意義深いことです。また、そのテクノロジーをこれだけ上手に見せることができれば、消費者にとっても非常に大きな意味を持つものです。
一色 (4月の予約開始から2カ月で年度内の販売目標6千台に達するなど)予約も好調のようですが、販売目標はどれくらいに考えていますか?
ゴーン 例えばリーフが目標とする来年度の数字は、(神奈川・追浜工場での年5万台の生産と)非常に限られたものです。それは非常に単純な理由です。私たちは生産できるだけの製品すべてを販売するつもりですが、問題はどれだけ車を、つまりバッテリーを私たちが生産できるかなのです。すでにアメリカと日本での注文の受付を開始していますが、事前予約の需要は非常に大きいもので、私たちは事前予約を一時ストップせざるを得ませんでした。在庫の確保も重要だからです。ですので、当初の問題は販売面ではなく、消費者の需要に応えるだけの十分な生産を行うことです。
一色 (2012年には米国、13年には英国などで生産する計画で)世界で約50万台販売する計画だと聞いていますが、これは2012年か13年のことでしょうか。
ゴーン いいえ、それは違います。リーフだけではなく、リーフに続くほかの多くの日産の電気自動車、それに2011年に販売開始するルノーの電気自動車も含めてのことです。ですので、8車種全体で50万台の販売を2015年までに達成しよう、というものです。
一色 電気自動車の場合、走行距離がまだ短いこと、値段がまだ高いこと、インフラがまだ整備されていないことなど課題がいくつかあると思います。そんな中で、日産は本格的な勝負に出ていると思いますが、まだちょっと早いのではないかという声もあります。その点はいかがでしょうか?
ゴーン ノー、ノー。どこかで踏み出さないといけないのです。私たちは、よいパフォーマンスの製品が得られて、ほとんどの人に受け入れてもらえる今回のようなタイミングを待っていました。もちろん、これからさらにカイゼンが加速していくことでしょう。バッテリーのコストは下がり続け、走行距離も伸びて、車全体の性能がよくなっていき、生産コストも価格も下がっていくことでしょう。私もそうなっていくと期待していますが、手始めに、日本で200キロの走行距離の電気自動車で始めようということです。
日本の自動車利用者のうち80%の1日の走行距離は50キロ未満です。もちろん、もっと走る人もいて、走行距離を懸念する人も一部にはいるでしょう。しかし率直に言って、日本のドライバーのほとんどは50キロ(未満)の走行距離なのです。わが社の車の最長走行距離は200キロです。もちろんこれからどんどん距離を伸ばしていきますが、出だしとしては十分以上の性能だと思っています。
私たちはかなり楽観視をしていて、この車の、十分な性能を持ち、ノイズも振動もなく、排気ガスのにおいもせず、非常に運転していて楽しいという利点を評価してくれる消費者が、すでに十分にいると見ています。そのうえ、200キロの走行距離を持っているのですから。(笑み)
一色 なるほど。値段がもう少し安くならないと普及しない、とか、インフラが整備されないといけない、といった課題については、どうお考えですか?
ゴーン その通りです。私たちもできる限りのコスト削減に取り組んでいます。しかし、コスト削減のためには、生産を始めなければならない時期、生産ボリュームを上げないといけない時期があるのです。
私たちが政府に期待する大きな手助けは、消費者に車購入のインセンティブを与えることです。そうすることで、電気自動車の(販売)数量の増加が促進されるでしょう。日本だけではなく、アメリカでもヨーロッパでも、各国政府の政策が大きな助けとなっています。新しいテクノロジーに触発された消費者がこのテクノロジーを購入するのを支援してくれています。
消費者がこの車を買い始めれば、私たちも増産をしなければならなくなり、増産すれば、コスト削減もできるでしょう。そうなれば、大きなスケールメリットが出てきます。
私たちも、コスト削減を早く行うことの必要性は認識しています。このテクノロジーができるだけ早く普及するため、そして(電気自動車の産業が)外部からの支援、公共の支援を頼らずに自立可能な存在になるためです。
もちろん、これまでの公共的な支援には感謝しています。電気自動車というのは、世界中での官民協力の模範例だと私は思っています。しかし、公的な支援が永遠にあるものではない、支援には期間的な制限がある、ということも私たちは分かっています。私たちはできるだけ早く、生産を簡素化してコストを下げ、多くのインフラをつくり、市場が中心になって普及を進められるようにしていく必要があるのです。
一色 日産は5000億円近くの投資をすると聞いています。おそらく世界の自動車会社の中でも、電気自動車では先頭を走っているのではないかと思います。ほかのメーカーは、まずハイブリッド(HV、HEV)を開発し、徐々に電気自動車(EV)に近づけていこうという方針のところが多いようです。日産の場合は、ハイブリッドを通過せずにいきなり電気自動車に向かっていますが、なぜでしょうか?
ゴーン いいえ、私たちもHV、つまりハイブリッドカーを製品ラインナップの中に持っています。フーガHEVなどのハイブリッドカーを日本でもアメリカでも出しています。
私たちは、HVを飛び越えてやっているとは思っていません。ハイブリッドテクノロジーでも、わが社は集団の中心にいます。ほかのハイブリッドを開発しているメーカーと同等の位置です。それ以上でもそれ以下でもない位置です。
しかし、EVでは、私たちは先頭に立ちたいのです。購入可能なEVの大量販売市場を率先して開拓していこうとしているのです。ですから、日産側からもルノー側からも、大規模な投資を行っています。この分野が自動車産業にとって重要なものになると思っているからです。EVは、内燃機関、つまりエンジンにとって代わるのではなく、非常に重要な補完的要素となるでしょう。私たちは、その分野で先頭に立ちたいのです。(笑み)
一色 アメリカでは、カリフォルニア州で2012年にゼロ・エミッションのビークル(乗り物)が義務付けられると聞いていますが、このカリフォルニア規制は、日産がリーフの開発を急いだことと関係があるのですか?
ゴーン いいえ。実際は、各国政府の多くが自動車の排出ガスに関してより厳しい規制をかけたいと思っているのです。しかし、これまでは、それを実現するテクノロジーが準備されていなかったので、限度がありました。
しかし、EVが本格的に実現しようとしている今では、世界中の国々の多くがEVに大きな関心を持っています。EVは完全なゼロ・エミッションだからです。燃料タンクもなく、排気管もなく、排気ガスは出ません。このため、ゼロ・エミッションをできるだけ前に進めたいと思っている一部の都市や国々は、EVを奨励する方向に向かうでしょう。
アメリカの中でもカリフォルニアは、EVに対して最も大きなインセンティブを用意している州のひとつです。連邦政府が出している1台当たり7500ドルに加えて、カリフォルニア州政府が5000ドルのインセンティブを追加で出しています。つまり、カリフォルニアの人々は、ゼロ・エミッションカーを購入するのに、非常に大きな動機付けを得ているのです。これは私たちに非常に大きな勇気を与えてくれています。ほかの多くの地域や国々も今後、これと同じ方向へと向かうと私たちは思っています。
私たちは、消費者がますますEVを好きになると予想しています。4月に始まったリーフの事前予約も非常に好調で、人々がEVを受け入れ、関心を持つようになっています。「リーフに関心がありますか」と聞くと、20万人以上の人が手を上げます。その中のごく一部の人々の関心がすでに注文に結び付いていますが、背景にそれだけの潜在的な購入希望者の規模があることが非常に重要です。
一色 中国の自動車市場についてお聞きします。将来的には、中国で電気自動車を売ることが非常に大事な戦略になると思いますが、おそらく値段を下げたりインフラを整備したりするには、大量販売が必要だと思います。中国市場で電気自動車が成功するかどうかについて、どうお考えでしょうか?
ゴーン 私も、中国が電気自動車の非常に重要な市場になるだろう、ということに疑いは持っていません。まず、中国政府が、このテクノロジーに関心を示しています。また、中国政府は、国内の自動車会社に、電気自動車の開発を強く奨励しています。中国市場に電気自動車の将来があることは間違いありません。
ただ、ご存知のように、中国の規制はまだ完全にはクリアになっていません。消費者に対するインセンティブを採用している省もあれば、はっきりしていない省もあり、私たちは注意深く見守っています。特に、私たちの中国のパートナーである東風モーター(東風汽車)とともに、法律の制定、排ガス規制、消費者へのインセンティブ、インフラ構築の進展状況を注意深く見守っています。決断はこれからです。
また、私たちもただ見守っているだけではなく、例えば実際に電気自動車を武漢市へ送り、そこでテストしながら、地元との協力関係を構築する予定もあります。しかし全体像が見えない限り、完全な戦略を持つことは難しいでしょう。私たちも中国市場に大きな関心を持っていて、参入の準備や中国側のパートナーとの話し合いも続けていますが、まだ中国市場へのアプローチを決断するには時期尚早だと思います。
アメリカや日本、欧州の一部の国では、すでに市場が開かれており、制度も整備されています。規制も非常にクリアで、消費者や自動車メーカーへのインセンティブも決定されています。私たちにとって、戦略の基盤を作ることが非常に容易にできるのです。このようなことを中国市場にも期待しています。
そうは言っても、もちろん中国市場がEVにとって非常に重要な市場になるであろうことに疑いは持っていません。(2~3回、軽くうなずく)
一色 私は先日、このインタビューのための取材で、中国南部の広州に行ってきました。広州のディーラーでお客さんに話を聞くと、皆さん、電気自動車に大きな関心を持っていました。次は電気自動車を購入検討の選択肢に入れたい、と多くの人が言っていました。しかし、まだ中国でいつから売るということは決めていないということですね?
ゴーン 決めていないです。まだ、市場は潜在的なものにとどまっていて、発売の「完璧なタイミング」は訪れていないと思います。
私たちにとっての「完璧なタイミング」というのは、規制が明快になったとき、つまり私たちが規制を理解し、それをどう使うかを理解できたときです。それ以前に参入すること、つまり私たちにとって規制が明快ではない状態で、私たちと私たちのパートナーが正しいアプローチが見つけられないのなら、参入は時期尚早でしょう。
私たちは、バッテリーや自動車製造のテクノロジーを持っており、部品を納入するメーカーのネットワークもあります。でも、私たちはまだ、中国政府が電気自動車に対して用意する条件に合うようなプロジェクトがまとまるのを待つ必要があるのです。(笑み)
一色 日産の中国での現地生産についてお聞きしますが、広州では第2工場が建設中でした。将来、たぶんここで電気自動車を生産するのかなと感じたのですが、広州の第2工場は生産の候補地としてゴーンさんの頭の中にあるのでしょうか?
ゴーン すべての私たちの生産拠点が、EV生産の拠点になる可能性があります。実際、中国で私たちのできることに制限はありません。私たちが工場を持っているところならどこでも、生産ラインを建設することが可能です。忘れてはならないのは、中国市場に参入するということは、販売のボリュームに見合うバッテリーを供給できる必要があることです。今後どこかの時点で、バッテリー生産に関する決断をすることになるでしょう。
中国に私たちが持っているすべての生産拠点がEVの生産拠点、あるいはバッテリーの生産拠点になる可能性があります。しかし、一色さんが訪れた拠点がその候補地である可能性もありますが、ひとつだけではないのです。(笑み)
一色 中国の場合、一般的に、(順調な生産・販売のためには)技術移転をしないといけないと言われていますが、電気自動車の技術を、向こうで生産となると、あっという間に中国に追いつかれるのではないかという心配もありますが、中国への技術供与、技術流出についてはどうお考えですか?
ゴーン 中国はすでに世界最大の自動車市場になっています。これから先も、世界最大の市場であり続けることでしょう。中国へ進出して競争に勝ち抜くためには、独自のR&D(研究開発)拠点と大量生産拠点を持ち、最高の知識、ノウハウを持つことが不可欠です。それがなければ、生き残れません。また、地元の部品メーカーの組織も必要でしょう。中国の国外から部品を輸入していては、生き残れないでしょう。
2002年にわが社が中国での活動を開始したころは、自分たちの持つテクノロジーをどこまで移転するか、それをどうやって進めるかについての慎重さがありました。しかし、実際は非常にうまくいっています。私たちも成長していき、日本の納入業者たちも成長しています。パートナーシップの精神、よい協力関係、パートナーである東風の間に生まれているお互いへの敬意が、日産の中国における「成功への鍵」となる要素のひとつです。
ご存知のように、日産は中国では今や、日本のトップブランドです。それは単に、製品やテクノロジー、品質、人材面のおかげだけではなく、中国人と日本人の間のすばらしい協力関係のおかげでもあるのです。ですから私は、慎重であるべきとか、注意しないといけないという見方はしていません。
確かに、私たちにとって重要なテクノロジーというのはあります。それを守る必要があるときは、それを守ります。現に、一部のテクノロジー研究や開発・生産については日本で行って、それを輸出するようにしています。しかし中国でも、信頼の気持ちとよい協力関係を維持しています。今までのところ、わが社は成長しているし、中国のパートナーとも、すばらしいパートナーシップを持つことができています。(笑み)
一色 電気自動車だけではなく、日産は全体的に中国市場でかなり成功していると思います。日産は中国で、日本メーカーではトップとなる(6.5%の)シェアを獲得しています。日産が中国で成功した理由は何だと思いますか?
ゴーン いろいろな理由があるでしょう。中国ですばらしいパートナーを得たことが大きな助けとなっているのはもちろんです。当初から、日本側の役員や協力者たちが、中国側と非常にうまく協力し合ったことも、非常に重要でした。
二つ目には、私たちが中国市場に持ち込んだ車が、中国の消費者のニーズに合致していたということでしょう。
三つ目に、生産の多くの部分をローカライズ(現地化)できたこともそうでしょう。おかげでコスト競争力もつきました。これも私たちの戦略が成功した非常に重要な要素です。
そして、多岐にわたる製品ラインナップを提供したことも大事でした。4×4やセダン、商用車に加えて、エントリーレベル(低価格帯)の車も投入しようとしています。こうした中国市場でのバリエーションの豊富さも、成功の大きな要因でしょう。
一色 中国での企業活動について、「チャイナリスク」ということが言われます。先日の尖閣諸島のトラブルの際も、レアアースの日本向け輸出が絞られたりもしました。いろいろな意味で中国は、ほかのマーケットよりも難しい点があると思いますが、チャイナリスクをどれくらいのものだと評価していますか? リスクは大きいと考えているのか、簡単に克服できるものと受け止めているのか、ゴーンさんのお考えは?
ゴーン 私たちは、中国について「リスク」だけを見るべきではないと思います。中国の「機会」、チャンスも見るべきです。私は、中国の可能性をまず考え、それから中国のリスク面を見るようにしています。特に日本企業から見れば、中国は「巨大な機会」の塊です。投資の機会、ビジネスの機会、交流の機会、それらをまず受け止めて、それからリスクを見れば、そのリスクを客観的に見ることができます。より忍耐強くなり、より賢明になり、より理解が深まり、そして少し前向きに、中国を見るようになれば、そのリスクを軽減することに取り組めます。「機会」と「リスク」のバランスを考えると、率直に言って、私たちは中国でうまくいっていると思います。(笑み)
一色 中国の市場自体はまだまだ大きくなると思いますが、どのぐらい大きくなるのでしょうか? どんな予想をされていますか?
ゴーン 非常にシンプルです。今日、中国市場はすでに世界最大です。2010年には1600万台の車が販売される見通しです。しかし、これでも中国人1000人に対して100台に満たない普及率です。客観的に見れば、まだ中国人1000人に対して100台を大きく割り込んでいるのです。
例えば欧州では、平均すると欧州人1000人に対して600台です。日本人1000人に対しても600台。アメリカ人1000人に対してなら800台です。中国の自動車普及率が、今の平均的なヨーロッパ諸国のレベルと比べて、今後もほど遠いレベルのままでいると考える人はいないと思います。欧州人1000人に対して600台なら、いつの日か、中国人1000人に対しても600台になるでしょう。ある程度の時間はかかるでしょうけれど、その可能性は大です。つまり、客観的に見て、中国市場の「伸びしろ」は膨大なものがあるのです。
また、非常に興味を持って見ていますが、中国政府は、インフラに対する膨大な投資を行っています。道路建設や交通システムの構築を行い、消費の拡大に見合ったインフラの建設を行っています。
私の予想では、短期的な成長ではなく、非常に長期にわたる成長となると見ています。なぜなら、人口規模を考慮すると、中国はまだインフラ設備的に不足しているからです。長期的にみても中国市場は強気で臨んでいい市場でしょう。時には、一服感や停滞期もあるでしょうが、それも新たな成長への準備段階でしょう。
一色 中国もそうやって成長し、ほかの市場も成長していく。そうした中で基本的には、現地生産、現地販売でやっていくとなると、少し心配なのが、日本国内が生産拠点として空洞化していくのではないかという点です。日本の、生産拠点としての意味合いをどうお考えでしょうか?
ゴーン オゥ。私たちにとって、日本は非常に重要です。まず私たちの「ベース」です。製造のベースであり、エンジニアリングのベースです。多くのテクノロジー、全社的に開発している知識や技術のベースです。これは変わりません。
日本の日産自動車は、一つの大きな研究所のようです。私たちの生産プロセスを開発したり、自動車生産の基幹となるテクノロジーの開発、生産のノウハウの開発などを行っているところです。同時に、わが社の人材を訓練しているところでもあります。日本はこれからも日産にとって非常に重要なベースであることに変わりありません。
例えば、私たちの日本の生産拠点は少なくとも年間100万台規模で生産しています。マザー工場の大半も、これからも日本をベースにします。海外でどれほどの展開が行われるとしても、日本は、わが社の競争力構築、事業展開のベースであり続けるでしょう。
私は、日本に今ある会社組織のマネジメントについても期待を寄せています。これらすべてを世界に展開するための役に立つからですし、日本をR&Dや生産のベースとして、よりよいものにするためです。
世界各国では、非常に多様な産業政策や環境政策が存在しています。ある国や地域の政策が、私たちの自動車生産や研究開発にとって、非常に助けになる可能性もあります。しかし、私たちから見て、日産の競争力、日産のアイデンティティが日本にあることは非常に重要な要素だと考えています。
一色 お答えを聞いてひとまず安心しましたので、電気自動車の話に戻りたいと思います。
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