城繁幸
2010年12月22日
エコカー減税や家電エコポイント、そして過去最大級とも言われる住宅ローン控除により、2010年の日本経済は一息つけたと言ってよいだろう。ただし、これはあくまで需要の先食いであり、来年からは急激な息切れに見舞われるはずだ。
そして、とても重要なことだが、この景気浮揚策が来春の賃上げにつながることは絶対にあり得ない。このことは、製造業のベンチマークであるトヨタ労組が、12月の段階で早々にベア要求の見送りを決めたことからも明らかだ。
なぜ、日本では財政政策→賃上げ→消費拡大という正のサイクルが弱いのか。一言でいうなら、それは日本企業の多くが将来を悲観し、そしてその予想に手足を縛られているためだ。
よく言われるように、日本は処遇の柔軟な見直しがとても難しく、一度上げてしまったら中々賃下げすることができない。このため、柔軟な見直しの可能な米国の労働分配率がほぼ一定なのに対し、日本は不況時に高止まりしてしまうというリスクがある。
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