多賀谷克彦
2010年12月22日
東京・有楽町。25日に閉店、1984年以来の歴史を閉じる有楽町西武は「最終売り尽くし ファイナルカウントダウンセール」のただ中にある。開店前に5千人が列をつくった日もあった。売り場は、西武流通グループが開店当時「従来の百貨店の枠組みを超える」として造り上げた往事を思い起こさせるにぎわいをみせる。
季節商材にも動きがある。「クリスマスケーキの平均単価が千円アップした」。売り場からは、こんな話が聞こえる。昨年なら3千~4千円が中心価格帯だったが、5千円のケーキの予約が好調だ。おせちの予約も、前年実績を上回る勢い。全国百貨店の10月の売上高は2年8カ月ぶりに前年実績を上回った。
業界には「世界金融危機後、低価格商材、節約志向へとかじを切った消費者意識が少しずつ和らぎ始めた」という期待が広がる。所得環境にも、少しばかり明るさが見えるデータが出始めている。民間の調査では、この冬のボーナスは前年より2%前後増えるという。回復幅はわずかだが、増加に転じるのは2年ぶりだ。
ただ、こうした明るい材料とは別に、小売りの現場には戸惑いが広がる。
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