メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

新しい消費スタイルの胎動

多賀谷克彦

多賀谷克彦 朝日新聞東京本社経済部長

 東京・有楽町。25日に閉店、1984年以来の歴史を閉じる有楽町西武は「最終売り尽くし ファイナルカウントダウンセール」のただ中にある。開店前に5千人が列をつくった日もあった。売り場は、西武流通グループが開店当時「従来の百貨店の枠組みを超える」として造り上げた往事を思い起こさせるにぎわいをみせる。

 季節商材にも動きがある。「クリスマスケーキの平均単価が千円アップした」。売り場からは、こんな話が聞こえる。昨年なら3千~4千円が中心価格帯だったが、5千円のケーキの予約が好調だ。おせちの予約も、前年実績を上回る勢い。全国百貨店の10月の売上高は2年8カ月ぶりに前年実績を上回った。

 業界には「世界金融危機後、低価格商材、節約志向へとかじを切った消費者意識が少しずつ和らぎ始めた」という期待が広がる。所得環境にも、少しばかり明るさが見えるデータが出始めている。民間の調査では、この冬のボーナスは前年より2%前後増えるという。回復幅はわずかだが、増加に転じるのは2年ぶりだ。

 ただ、こうした明るい材料とは別に、小売りの現場には戸惑いが広がる。

・・・ログインして読む
(残り:約882文字/本文:約1351文字)