松浦新(まつうら・しん) 朝日新聞経済部記者
1962年生まれ。NHK記者から89年に朝日新聞社に転じる。くらし編集部(現・文化くらしセンター)、週刊朝日編集部、オピニオン編集部、特別報道部、東京本社さいたま総局などを経て現在は経済部に所属。共著に社会保障制度のゆがみを書いた『ルポ 老人地獄』(文春新書)、『ルポ 税金地獄』(文春新書)、『負動産時代』(朝日新書)などがある。
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
松浦新
若い人が仕事に就けない。就いても、パートなどの「非正規」が多い。そこには単純作業が多いため、能力を高めていくことができず、いつまでたっても給料が上がらず、非正規のままでいることになる。
若くて、将来がある人たちが、なぜ、安定してスキルを高めていくことができる形で働けないのか。なぜ、「非正規」という働き方がこんなに増えるのか。そこには年金や医療の社会保障制度が大きくかかわっている。
国民年金被保険者実態調査は、上記のことを考えるうえで、貴重な情報源だ。グラフを見てほしい。国民年金は、よく自営業者が加入する年金と言われる。しかし、08年調査の段階で、「自営業主」と「家族従業者」を合わせて全体の26%しかいない。96年調査に比べて10ポイント以上減った。
その代わりに増えているのが、「臨時・パート」に分類される「非正規労働者」なのだ。社会保険に加入している会社で正社員として雇われている人たちや公務員は、それぞれ厚生年金や共済年金に入るので、非正規労働者の増加はここに現れる。
加えて、本来なら厚生年金に入るべき人が多いと見られる「常用雇用」の人も増えている。これは、厚生年金に入っていない会社に勤めている人たちで、私は「ヤミの非正規雇用」と呼んでいる。
こうした非正規雇用が増えるのはなぜなのか。答えは簡単で、
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