メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

news letter
RSS

2011年はこうなる 新春筆者アンケート(政治・国際)

WEBRONZA編集部

 政権交代後の迷走で民主党政権への幻滅が広がって暮れた昨年。「ねじれ」状態のまま、通常国会を迎える菅政権と民主党は瀬戸際の今年、どうなるのか。課題が山積する日米、日中関係の行方は。緊張感が高まる朝鮮半島の情勢は。政治・国際ジャンルの筆者の方々にアンケートでうかがいました。

回答者:川村陶子、後藤謙次、櫻田淳、肖宇生、鈴木崇弘、水田愼一、小北清人、菅沼栄一郎、高成田享、谷田邦一、編集長・一色清(敬称略)

 ◇「ねじれ国会」のもと、連立の組み替えはあるか

拡大会期末にも採決が行われた参院本会議=12月3日午後0時8分、飯塚悟撮影
 まず、民主党中心の新たな連立可能性を聞いたところ、鈴木崇弘さんから「それ以外に今の政治状況を変えられない」との切実な答えが返ってきた。

 しかし、菅政権は「安全保障問題では対米基軸路線を堅持する構え」(谷田邦一さん)なので社民党の協力は得にくい。後藤謙次さんは「社民、たちあがれ日本、新党改革を次々と食い散らかしてしまったので、菅政権での連立組み替えの可能性はなくなった」と指摘する。

 だが、高成田享さんは、「年明けの内閣改造で、公明党との連立に向けた布石を打つ」「結局は公明党に譲歩を重ねて連立する」と見る。一色清WEBRONZA編集長も「『小沢切り』で菅政権の支持率が回復し、公明党が連立に応じる」との意見だ。後藤さんは「統一地方選後の公明党との部分連合が精いっぱい」と少し厳しく見る。

 一方、櫻田淳さんは、「『大連立』であれ『連立組み替え』であれ『政界再編』であれ、民主党主導内閣の『保身』や『延命』の要請に沿ったものでしかない」という印象が広まっている、とする。野党にとって「民主党の『保身』や『延命』への加担に踏み切る利益は乏しい」との評価だ。

 水田愼一さんも、「現在の政党枠組みを維持したままの連立組み替えはない」と回答。「小沢・反小沢の対立から生じる民主党の分裂を機に、民主党内の保守派議員とみんなの党や自民が連立する可能性がある」と見る。

◇民主党政権は支持率を回復するか

拡大民主党代表選の公開討論会に臨む菅直人首相(右)と小沢一郎前幹事長=2010年9月10日
 では、新たな連立政権を組むことができたとして、民主党は支持率を回復できるのか。

 鈴木さんは、ポスト菅政権になっても「よほどのことがなければ、大きく支持率は上がらない」との立場だ。「民主党が何をしても、信頼感を得られない環境が生まれつつある」からだ。後藤さんも「いまだに政権が目指す目標が見えない」「菅政権である限り、支持率回復は絶望的」と見る。

 一方、櫻田さんは「『表紙の付け替え』効果は長く続かない」が、「前原・枝野世代への政権移譲、あるいは『女性総理の登場』のような演出」ができれば一時的な回復は可能とする。高成田さんも、小沢問題が強制起訴などで一段落すれば、「野党の与党批判が揚げ足取りだという逆批判が強まり」、ある程度、支持は回復すると見る。一色編集長も「国民は民主党に完全に愛想を尽かしているわけではない」「自民党に戻る以外の選択肢がなければ、それとの比較考量で民主支持が回復する余地はある」という。

 鈴木さんも「自民は現状では支持を得られない」との見方だ。政界再編で新しい政治の枠組みが生まれ、安定するには「少なくとも2回の選挙、2~3年かかる」(鈴木さん)。菅沼栄一郎さんは、与野党ともに「『20世紀型』の価値・思想を引きずる各政党が変革を遂げ、新たな時代の要請に応じ」てほしいと期待を寄せる。