WEBRONZA編集部
◇菅政権の総辞職はあるか
菅政権の総辞職については、「不可避」(水田さん、後藤さん)「ありうる」(櫻田さん、鈴木さんほか)といった意見が有力だった。
「国民を鼓舞する米大統領的なパワー」が菅首相には決定的に欠けており、「解散に打って出る不敵さがあるとは思えない」と小北清人さん。「どことなくお疲れ」の首相の言動をテレビで見ている国民も、脱力して元気がなくなっていく。「国民の絶望感・閉塞感を助長させている」「国民の精神安定に悪い」と厳しい評価だ。
櫻田さんも、支持率20%割れ目前の菅政権を「風前の灯火」と形容する。ただし、「総辞職の契機がなければ、超低空飛行のまま意外に長く続く可能性がある」。一方で、「小沢氏や鳩山氏には『菅降ろし』を仕掛ける資格も大義もない」とする。
後藤さんは、菅政権が通常国会招集前に処理すべきだった3つの課題、(1)小沢問題(2)仙谷・馬淵両氏の問責問題(3)ねじれ解消に向けた連立交渉について、「小沢問題でつまづき、むしろ政局が混乱したまま通常国会に突入する公算が高い」とする。支持率が低迷する現状では「選挙は政権放棄と同義語に近い」(後藤さん)ので、年内に菅首相の総辞職を前提とした政界再編の動きが始まる、と見る。
菅沼さんも、菅政権が小沢氏の影響力排除と内閣改造に成功しても、新たな連立や部分連合は実現せず、「3月の予算成立前に崩壊する可能性が大きい」との見方だ。しかし、ポスト菅政権は、「マイナス成長・人口減少・高齢化に適応した、国民に痛みを強いる税制改革・社会保障を旗印にせざるをえない」(菅沼さん)。バラマキ色の強いマニフェストで政権交代を果たした民主党にとって、こうした大きな方向転換は難しいと見るが、この課題を乗り越えれば、民主党は大規模な連立への可能性が出てくる、とにらむ。
反対に、一色編集長は「公明党の協力で予算は成立する」、したがって菅政権は総辞職せず、政権は続くと見ている。
◇米国・中国などとの外交関係は改善するか
日本と米国、中国などとの外交関係改善について、谷田さんは「対米基軸派の前原外相の存在感が高まっている」と日米関係の好転を想定。「中国の軍事的台頭に備えて、普天間問題を切り離して日米同盟強化を打ち出す」ことになり、「日米韓vs中朝の図式はさらに鮮明になる」と見る。水田さんも、「日米関係の維持と日中関係の緊張持続」を予想する。
オバマ政権は中間選挙の結果を受けて保守・中道化が進み、普天間問題は膠着状態が続くが、日米安保は一定ていど評価される。対中国では、「中国が今後も日本側の結束力や実力を試すような行動を取ってくる可能性がある」(水田さん)。櫻田さんは、対米接近と対中離反は「ひとくくりの現象」と説明する。「民主党主導内閣が対米同盟を軋ませたため、尖閣諸島沖衝突事件など中国政府の対日強硬姿勢」が現実のものとなった。「対中・対ロ関係の安定も、日米同盟の再建次第」(櫻田さん)だ。
ただし、「日中の経済関係は粛々と進む」(一色編集長)と見る向きは多い。高成田さんは、「米中ともに日本を深追いしない」ので、ある程度は関係改善するとの見方だ。「米国は、これ以上の民主党の弱体化は望まない。中国も、これ以上の関係悪化は日本の対中ナショナリズムを台頭させるだけと見ている」という。鈴木さんも「民主党政権でも今よりは改善する」と楽観する。外交は「現状の延長とそこからの漸次的な改善と変更しかできない」ということを民主党も理解しつつあるからだという。肖宇生さんは、米中関係について「米中間のつながりは想像以上に強固なもので、お互いの重要性も分かっている。摩擦を起こしながら物事をうまく運ぶ仕組みができている」と分析。日本が米中の動きにどこまで連携できるかがカギだ。
これに対して、菅沼さんは、
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