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物語性が引き出す善意

一色清

一色清

 年が明けてタイガーマスク運動がこれほど広がるとは思っても見ませんでした。年末に、タイガーマスク名で児童養護施設にランドセルが届いたというニュースを見たときには、「月光仮面とかネズミ小僧とかの名前でお金を投げ入れたなんて話があったよな」というくらいでした。それが全ての都道府県で何百件となると、これはどうしてここまで広がったのかを考えないわけにはいかないと思います。

 まず異論なく言えるだろうことは、人を助けたいという善意は日本社会に広く存在しているということです。阪神大震災や日本海の原油流出事故などの時に多くのボランティアが集まったことは記憶に刻まれていますが、新聞や雑誌に載った小さな記事に対して、お年寄りから手紙を添えた貴重な善意が送られてくることはしばしば経験しました。

 まだ貧しかった時代を知り、その後の豊かさを享受して人生の後半戦に入っている中高年に思いは強いように感じます。ただ、多くの人は善意を実行に移すきっかけがないため、善意を眠らせているのだと思います。

 では、なぜそのきっかけがタイガーマスクだったのでしょうか。私は、贈る人にも物語の一員としてどきどきわくわくする感じを与えたことが大きいと思います。

 自分の立場で考えてみます。まず、タイガーマスクにはとても懐かしい感じがします。物語が思い出されます。その上で、 ・・・ログインして読む
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筆者

一色清

一色清(いっしき・きよし) 

【退任】週刊紙「アエラ」前編集長。1956年生まれ。78年朝日新聞社に入り、経済部記者、「アエラ」編集部員などを経て、2000年「アエラ」編集長。beエディター、出版本部長補佐などを経て、08年10月から「報道ステーション」コメンテーターを務めた。「アエラ」副編集長時代には、中吊り広告下の一行コピーを担当。2012年1月まで「WEBRONZA」編集長。

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