浜矩子
2011年02月01日
TPP騒動がかまびすしい。平成の開国とは恐れ入る。なんと大時代な物の言い方だろう。これを言った菅首相は、今まで日本は鎖国していたという感覚を持っているのだろうか。
確かに、日本には、何かにつけて鎖国的性癖が前面に出る体質がつきまとう。それをこの際、思い切って断ち切ろうというのであれば、それはそれで立派な見栄の切り方だ。だが、どうも、そのような認識の深さと気概の強さをもって「平成の開国」を言っているようには聞こえない。なぜなのだろう。
それは、菅さんの言葉の背後から滲み出て来る焦りの臭いのなせる技なのだと思う。おいてきぼりを食らうことへの恐怖感。このパニックの香りが感じられる分だけ、開国の呼び声がうさんくさく聞こえてしまうのである。
現に、日本のTPP入りを懸命に提唱している向きの多くは、仲間入りしないことで関税障壁の外側に取り残されるのがまずいと言っている。TPPの内側では広範にゼロ関税貿易が行われるのに、日本はその埒外から従来と同じ関税を課せられたままでTPP諸国に物を売り込んでいかなければならない。こんなハンディキャップ・レースを強いられたのでは堪らない。これがTPP推進論者たちの基本的な言い分である。
これはこれで、筋が通っている。彼らの懸念はもっともだ。ただ、
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