城繁幸
2011年02月12日
従来の新卒採用は、「新卒・総合職」という単一の役のみが演じられる舞台のようなものだった。
その舞台の上で、学生は、いかにそれっぽいキャラを演じられるかに注力し、企業はそれっぽい演じ手を選ぶことに精を出していた。いわば、終身雇用という劇の中で、新卒・総合職というキャラをめぐって、企業も学生も壮大なフィクションを織りなしていたわけだ。
もっとも、出世以外のキャリアパスが無いわけだから、これはこれで合理的な面もあった。新卒採用という舞台の上で上手く演じられる人材なら、企業というムラ社会の中でも良き村人を演じてくれるに違いないからだ。
ただ、企業側から見て、このシステムが上手くいっていたのはバブル崩壊までのこと。それ以降は非効率すぎてまったくお話にならなかった。たとえば100人総合職を採ったところで、実際に上級管理職として事業計画を策定するレベルに上がれるのは、せいぜい1割といったところだ。それなのに、採用段階では100人にそういった役回りを要求し、事業プランやキャリアビジョンをエントリーシートにせこせこと書かせるわけだ。
学生の側も、そんな気概をもつのは実際には一部なのに、
有料会員の方はログインページに進み、朝日新聞デジタルのIDとパスワードでログインしてください
一部の記事は有料会員以外の方もログインせずに全文を閲覧できます。
ご利用方法はアーカイブトップでご確認ください
朝日新聞デジタルの言論サイトRe:Ron(リロン)もご覧ください