原真人
2011年02月15日
鉄鋼業界で国内トップの新日本製鉄と、3位の住友金属工業が来年秋を目標に合併を検討すると発表した。「鉄は国家なり」の時代は過去になったとはいえ、鉄鋼が日本の主要産業のひとつであることは確かだ。そこで世界市場をにらんだ起死回生の再編劇が実現するなら、それは大いに産業界の再編機運を盛り上げることだろう。
今回の合併発表がとりわけ他業界からも注目されたのは、40年前の合併劇で大型合併のハードルの高さを産業界に思い知らせた新日鉄が、再び当事者となったからだ。
新日鉄は1970年に八幡製鉄と富士製鉄が合併して誕生した。68年に合併を発表してからの道のりは平坦ではなかった。翌69年、公正取引委員会は合併への否認勧告を出した。両社はその勧告を拒否し、初の審判にもちこまれ、政府や労働界、学会を巻き込んだ全面対決となる。結局、新日鉄側が一部の設備を他のライバルメーカーに譲ったり、ノウハウを教えたりすることを条件に、合併はなんとか認められた。それでも合併に要する時間やエネルギー、企業イメージへの影響、生産力の削減リスクなどを考えると、「合併は高くつく」という印象を多くの経営者に植え付けただろう。
しかし現代は、産業を取り巻く環境が一変した。40年前の新日鉄は世界一の規模となれたが、今回の合併では、
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