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 先日、日本政府が2010年第三四半期の経済統計を発表し、これで2010年の中国のGDP(国内総生産)が日本を超えて世界第2位の経済大国になることが確実になった。

 中国が長年目標としてきた日本を経済規模で上回ったことで、中国国内に高揚感が漂う一方、むしろ今後の成長に警鐘を鳴らす国内の論調も非常に多い。中国の識者たちが問題視しているのは、主に経済構造の改善、GNPへの着目、そして「民富」の拡大という三つの課題だ。

 まず、中国経済の構造について、成長と停滞が混在していることを指摘する声は多い。先進国に見られるようなサービス業の発展はこれからで、経済全体に占めるその比重もいまだ低い。2010年のGDPにサービス業が貢献したのは17兆1千億元と製造業の18兆6千億元よりも低く、成長率も水をあけられている。国内消費がGDPに占める割合も37.3%と小さく、GDPの54.8%を占める投資の割合を大きく下回っている。これは、先進諸国の70%台に遠く及ばない数字だ。また、先進国の2倍に達している物流コストの高さも産業発展の足かせになっている。単位GDP当たりに費やされる資源も、いまだ改善の余地が大きい。

 このように、経済全体の質を高める必要性が、さまざまな識者・専門家たちによって訴えられている。量よりも質、そしてバランスのよい経済発展を図るべきだ、というのが中国経済を論じる識者たちに共通する問題意識のようだ。

 次に、中国の議論は、GDPよりもGNP(国民総生産、GNI=国民総所得)に注目している。

 確かに、中国における国内総生産額(GDP)のうち、かなりの部分を外資系企業による生産が占める。そうした生産によってもたらされる付加価値は、結局、外資系企業の本社に計上され、中国の「富」にはならない。逆に、日本は、日本企業が海外似莫大な経営資産を持っており、その分は日本のGDPに含まれないが、これらは間違いなく日本の「富」の一部を構成している。

 したがって、国の「富」、あるいは経済規模を計算する際にも、中国はGDPにおいて日本を抜いたが、GNP(GNI)においては、まだまだ日本が上だ、という見方も成り立つ。

 中国企業が今まで以上に競争力を高め、中国経済に占める中国企業の比重が高まり、そうした企業が海外進出を進めて、国内と海外の両方の生産額の合計において日本に追いついてこそ、初めて「日本超え」を達成できる――。そうした主張が中国国内で勢力を増している。

 第三に、上に述べたような「国富」よりも「民富」に注目した議論も多い。 ・・・ログインして読む
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筆者

肖宇生

肖宇生(しょう・うせい) フロンティア・マネジメント株式会社事業開発部マネージング・ディレクター

【退任】フロンティア・マネジメント株式会社事業開発部マネージング・ディレクター。1996年大阪大学経済学部、2001年一橋大学大学院経済学研究科卒業(経済学修士)。精密機器メーカーで中国携帯市場向けマーケティングを担当後、国内シンクタンクで中国市場のコンサルティング、ファンド会社で中国市場のプライベート・エクイティ投資に従事。日本総合研究所創発戦略センター主任研究員を経て、2011年4月より現職。

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