藤井英彦(ふじい・ひでひこ) 株式会社日本総合研究所 調査部長/チーフエコノミスト
【退任】(株)日本総合研究所 理事/チーフエコノミスト。83年東京大学法学部卒業。同年住友銀行入行。90年より(株)日本総合研究所、11年から現職。共著に「オバマのアメリカ 次なる世界経済の行方」(東洋経済新報社)、「2006 図解 日本総研大予測」(徳間書店)、「図解 金融を読む辞典」(東洋経済新報社)。
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
藤井英彦
食糧価格が一段と上昇している。FAO(国連食糧農業機関)によると、2011年1月の食糧価格は過去最高となった。とりわけ砂糖の値上がりが大きい。穀物の値上がりも重要だ。単なるインフレ問題にとどまらず、政治的な意味合いが強まった。
端的な例がチュニジアやエジプトだ。経済的側面からみれば、構図は次の通りである。
まず貧困層の多さだ。1人当たりGDPと失業率をみると、2010年時点でチュニジアが4,160ドルで13.2%、エジプトが2,771ドルで9.2%。平均所得水準が3~4千ドルにとどまるなか、失業率が10%前後に上る。とりわけ若年層の失業率が高い。15~24歳の男性失業率はチュニジアが31%、エジプトは23%だ。
次いで1980年代前後の人口増加の結果、近年若年層が急増したことが追い討ちを掛けた。雇用の受け皿作りが間に合わず、血気盛んな若年層で不満の蓄積が進んだ。ちなみに2010年の総人口に占める15~34歳人口のシェアはチュニジア38%、エジプト37%だ。先進各国の2割強を大きく上回る。
最後に小麦輸入への依存だ。国内需要に対する小麦輸入のシェアは
論座ではこんな記事も人気です。もう読みましたか?