メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

news letter
RSS

[16]幻冬舎のMBOを振り回した「イザベル」

大鹿靖明 朝日新聞経済部記者

 幻冬舎の見城徹社長は2月15日の臨時株主総会終了後、私の電話取材に対して開口一番、「脱力しました」と言った。

拡大臨時株主総会の後、取材に応じる見城徹社長=15日午後0時7分、東京都新宿区
 約2カ月間におよんだ株の買い占め騒動は結局、決戦場となった2月15日の臨時株主総会で、株を買い占めた側が経営陣に敵対的な行動をとらず、経営側の圧勝に終わったからである。見城帝国の幻冬舎を翻弄した謎の「ファンド」はついに正体を見せずじまいだった。買い占めの意図が分からぬままの、後味の悪い幕切れとなりそうだ。

 幻冬舎の株を買い占めてきたケイマン籍のイザベル・リミテッドは、現物株で300株を有し、立花証券を使った制度信用取引で約9700株を持っている。この9700株分は立花から年利1・47%で約16億円の融資を受けて買い集めたものだ。イザベルは臨時株主総会に出席できる株主が確定する1月7日までに「現引き」しない、つまり信用取引を決済しないままだったため、株券は立花証券の担保に入ったままとなり、議決権は立花証券が持つことになった。

 臨時株主総会当日、300株分の議決権はイザベルの代理人となっている東京桜橋法律事務所の豊田賢治弁護士が会社側提案の議案に反対票を投じた。だが、総会を左右する議決権の3分の1超を有する立花証券(約9700株で35%余に相当)は、総会に出席しなかった。これによって総会では会社側提案が圧倒的多数の賛成によって可決し、幻冬舎は昨年12月までにおこなわれた株式公開買い付け(TOB)に応じなかった株主からも「強制的」に株式を買い取ることができるようになり、株式上場は廃止される見通しとなった。

 いったんは見城氏に「総会には行きます」と言っていた立花証券の石井登社長だが、総会開催直前になって見城氏と極秘会談を取り持ち、総会に行かない可能性を示唆したという。しかし、

・・・ログインして読む
(残り:約1349文字/本文:約2105文字)

全ジャンルパックなら本の記事が読み放題。


筆者

大鹿靖明

大鹿靖明(おおしか・やすあき) 朝日新聞経済部記者

1965年、東京生まれ。早稲田大政治経済学部卒。88年、朝日新聞社入社。アエラ編集部などを経て現在、経済部記者。著書に第34回講談社ノンフィクション賞を受賞した『メルトダウン ドキュメント福島第一原発事故』を始め、『ヒルズ黙示録 検証・ライブドア』、『ヒルズ黙示録・最終章』、『堕ちた翼 ドキュメントJAL倒産』、『ジャーナリズムの現場から』がある。近著に『東芝の悲劇』。キング・クリムゾンに強い影響を受ける。

大鹿靖明の記事

もっと見る