浜矩子
2011年02月19日
ローマ・クラブが1972年に「成長の限界」に関する警告を発した。人口爆発と環境破壊に歯止めが掛からなければ、世界は100年後に成長の限界に達するということだった。その100年のうち、およそ40年が経過した今、時あたかも世界は資源価格の高騰と食糧不足でちょっとしたパニック到来の場面を迎えている。ローマ・クラブの面目躍如だ。
だが、そのことに感心しているだけではいけない。あの時と今とでは、時代状況が大いに違う。どう違うかといえば、1970年代初頭の世界はまだグローバル化していなかった。経済活動に対して、国境というものがまだまだ相応の仕切り線の役割を果たしていた。諸問題が地球的に波及する度合いにもその複雑さにも、今に比べれば、それこそ限界があった。誰かがどこかで何かをすれば、どこかで誰かの世界が変わる。
風が吹けば桶屋が儲かるどころの騒ぎではない。種一粒が失われれば、地球経済全体が失われかねない。そんな時代である。
ここに来ての資源インフレがもたらすものは何か。それは製品デフレの加速だと筆者は思う。
何故かといえば、
有料会員の方はログインページに進み、デジタル版のIDとパスワードでログインしてください
一部の記事は有料会員以外の方もログインせずに全文を閲覧できます。
ご利用方法はアーカイブトップでご確認ください
朝日新聞社の言論サイトRe:Ron(リロン)もご覧ください