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万物流転の法則からトヨタは逃れられるか

安井孝之

安井孝之

 日本の自動車産業にとって米国は、かつては育ての親であり、憧れだったが、今では会社の存立を左右する収益源である。世界一の座をつかんだトヨタ自動車にとっても同様である。それだけに米国との付き合いはこれまで「失礼がないように」と細心の神経を使うものだったし、これからもそうであろう。だが、米国は日本に対し、「失礼がないように」などとこれまでもそうだが、これからも思はない。

 不具合を指摘されたトヨタの電子制御システムが一転、「欠陥はなかった」と結論が出たが、これで一安心というわけにはいかないだろう。自由な国とされる米国だが、自らの利益のためならメディアも巻き込んで、冷静さも公平さも失ってしまう国であることが今回も明らかになった。そんな国を相手に、トヨタは最強で居つづけられるのだろうか。

 トヨタ自動車が創業した1937年のころは米国勢が歯牙にもかけない存在だった。トヨタが戦後、57年に対米輸出をしたころでも米国との差は大きかった。輸出第一号のクラウンは加速も十分でなく、

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