小此木潔(おこのぎ・きよし) ジャーナリスト、元上智大学教授
群馬県生まれ。1975年朝日新聞入社。経済部員、ニューヨーク支局員などを経て、論説委員、編集委員を務めた。2014~22年3月、上智大学教授(政策ジャーナリズム論)。著書に『財政構造改革』『消費税をどうするか』(いずれも岩波新書)、『デフレ論争のABC』(岩波ブックレット)など。監訳書に『危機と決断―バーナンキ回顧録』(角川書店)。
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
小此木潔
中東諸国が民主化の波に覆われている。このうねりは、中東全域におよび、世界に波及するだろう。革命によって政権が交代する劇的な変化が起こる。チュニジア、エジプト、リビア、と「ドミノ現象」がどこまで広がるのか。予断を許さないが、それはもはや押しとどめがたい歴史的必然とでもいうしかない。その本質はやはり「民主化」だと思う。
というのは、これはイスラム圏で起きているものの、かつてのホメイニ師のようなカリスマをいただいた「イラン革命」型のイスラム革命ではない。ひとびとは、自由、民主主義、経済発展による豊かさに向かっての解放と開放を求めているのだろう。
たとえば、テレビカメラの前でエジプトの中年市民は叫んだ。「我々はもとは韓国よりも豊かだったが、独裁のせいでこんなに後れてしまった」…。イラン革命のような歴史的経験はもはや繰り返すまでもない回り道のようなことがらなのだろう。それを賢く回避して、その先へ進みたい、と人びとは考えている、と私は思う。
だがこれはたんに「フェイスブック革命」や「ツイッター革命」あるいは「インターネット革命」ではないと思う。じつは
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