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【緊急報告】(3) 急げ! とらやのようかん・がん治療薬【無料】

松浦新

松浦新 朝日新聞経済部記者

 地震発生から1週間がたち、少しづつだが物流が動き始めた。ガソリン・軽油が少ない、交通網も万全ではない。そんなハンデを乗り越えて、必要な物資を届けようという熱意が工夫につながっている。

 とらやのようかん2万本と、がんの治療薬を積んだトラックが18日深夜、仙台に向けて出発する。ようかんは仙台で活動しているNPO法人の「難民を助ける会」に届けられ、避難所に配られる。がんの治療薬は財団法人の癌研究会癌研究所から東北大学病院に届けられる。

 この不思議な取り合わせを実現したのは、NGOのCIVIC FORCEだ。薬の運送手段を探していた癌研究会の情報と、ようかんを運ぶという情報を結びつけ、2トントラックの空きスペースに、治療薬の段ボール箱20箱を積む話が成立した。

 CIVICには、支援物資を提供したいという情報と、被災地に向かう車があるという情報が集まっており、そのマッチングで被災地にも物資を送ることができているという。少し話は違うが、17日の透析患者を運んだバス会社も、CIVICのネットワークでみつかった。地震が発生した11日以来、何件ものマッチング輸送が成立しているという。

 がんの治療薬も、単純に東北大が必要としているものではない。東北大病院の被害は比較的少なく、医薬品卸も機能しているため、薬で困るほどではない。しかし、宮城県内の医療機関は、地震や津波の被害で注文のための事務職員の確保が難しかったり、発注するファクスなども壊れたりしているところが多い。

 そうした薬の発注自体が難しい医療機関に代わって、首都圏を中心とした各地の病院が医薬品、医療機器を発注し、医療機関同士の「融通」をするための拠点のひとつになっているのが東北大病院だ。医療機関同士が連携し、東北各地の大学病院がこうした物流の「拠点病院」となり、そこから地区の病院に運ぶ工夫が機能し始めている。その輸送手段のひとつになったのが、とらやの支援物資を運ぶトラックだったということだ。

 運ぶことをあきらめない。とにかく届けたいから知恵を絞る。そんな中で民間企業、医療機関、NGOの連携が成立して、厳しい中にも復興に向けた芽が出始めている。

とらやホームページ http://www.toraya-group.co.jp/

難民を助ける会 http://www.aarjapan.gr.jp/

癌研究会癌研究所 http://www.jfcr.or.jp/laboratory/tci/

CIVIC FORCE http://civic-force.org/

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筆者

松浦新

松浦新(まつうら・しん) 朝日新聞経済部記者

1962年生まれ。NHK記者から89年に朝日新聞社に転じる。くらし編集部(現・文化くらしセンター)、週刊朝日編集部、オピニオン編集部、特別報道部、東京本社さいたま総局などを経て現在は経済部に所属。共著に社会保障制度のゆがみを書いた『ルポ 老人地獄』(文春新書)、『ルポ 税金地獄』(文春新書)、『負動産時代』(朝日新書)などがある。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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