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電力不足にさらされる日本経済と東京電力の試練

木代泰之

木代泰之 経済・科学ジャーナリスト

 福島第一原発の事故の行方はまだ予断を許さない。確かなのは、これから原子力発電をめぐる広範で激しい論争が起き、長期にわたって電力供給が厳しい試練にさらされるということだ。

 政府もエネルギー政策をどう進めていけばいいのか、深刻なジレンマを抱えることになる。地球温暖化防止のために原子力発電を推進することは、先進国の合意となっている。しかし、これまで説明していた安全性の論拠が崩れた以上、原子力発電の見直しが必要となり、電力供給の不足が回復することは当分期待できない。この制約が日本経済を長期に停滞させる心配がある。

 東京電力では福島第一原発1-4号機のうち、いくつかは廃炉にせざるを得ないと見られている。同第二原発も当分運転再開は難しいだろう。東電は複数の火力発電所を再稼働させる計画だが、発電量は原発の数分の一なので、カバーしきれない。

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筆者

木代泰之

木代泰之(きしろ・やすゆき) 経済・科学ジャーナリスト

経済・科学ジャーナリスト。東京大学工学部航空学科卒。NECで技術者として勤務の後、朝日新聞社に入社。主に経済記者として財務省、経済産業省、電力・石油、証券業界などを取材。現在は多様な業種の企業人や研究者らと組織する「イノベーション実践研究会」座長として、技術革新、経営刷新、政策展開について研究提言活動を続けている。著書に「自民党税制調査会」、「500兆円の奢り」(共著)など。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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