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 被災地で今重要なことは、人命と安全、物資の確保だが、今後の復興を考える上では金融の果たす役割も無視できない。

 今回の地震で被害を受けた宮城県、岩手県、福島県の金融機関は相当な痛手を受けその影響は阪神大震災での状況を上回ると考えられる。地域復興の担い手となる地域金融機関に対しては、税金や預金保険料の免除、柔軟な形態での資本投入など、あらゆる手段で財務基盤の劣化を防ぐような対策をとるべきだ。また、事態が落ちついた段階では、県を越えた統合やシステムの共同化なども視野に入れ、地域金融の枠組みを再考していく必要もある。

 地域金融機関の受ける経済的損失は現時点では測り難い。直接的には、店舗やATMなどの修繕や移転費用、支援活動や寄付などがある。また、個人や中小企業の資金繰りが悪化し、支払いが困難となれば、銀行にとっては貸し倒れコストが増加する。阪神大震災では、緊急融資など政府の支援にもかかわらず、被災地での貸出のうち約4%が条件変更などを要する問題債権となった。

 今回被害が大きかった地域では、金融機関全体の貸出が7,000億円から9000億円と推計される。仮に10%が支払い困難になるとすれば800億円程度に上る。政府の支援や補償が期待できるとはいえ、金融機関にもある程度の負担は避けられないだろう。 ・・・ログインして読む
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筆者

根本直子

根本直子(ねもと・なおこ) 早稲田大学 大学院経営管理研究科 教授/アジア開発銀行研究所、 エコノミスト

日本銀行、S&Pグローバル、マネージング・ディレクターを経て現職。主なリサーチ分野は、金融機関経営、日本およびアジアの金融市場、包摂的成長。 早稲田大学法学部、シカゴ大学経営大学院、一橋大学商学研究科、商学(博士) 主な著書に「韓国モデルー金融再生の鍵」「残る銀行沈む銀行―金融危機後の構図」 財務省 関税・外国為替等審議会委員、中部電力、コンコルディア・フィナンシャルグループ社外取締役、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF) 経営管理委員。

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