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3.11で変わるもの

一色清

一色清

 まだ1万数千人の行方不明者がいて原子力発電所の危機が続いている段階ですので、時期尚早かもしれませんが、2011年3月11日を境にして、日本の姿が大きく変わる様相を見せていますので、何が変わろうとしているのか、現時点で考えられることを書きたいと思います。

 確からしいものから挙げてみます。

 まず間違いないのは、日本のエネルギー政策が大きく変わることです。原発の新設が認められないのはもちろん、現在点検中のものの稼働が認められないとか、動いているものでも古いものについては廃炉にする動きが出るとか、原発への強烈な逆風が吹くのは確実です。ただ、日本の発電量のうち3割程度の原発を今後縮小していくのなら、代わりのエネルギー源を何にするのかという大きな問題がおきます。太陽や風力などの自然エネルギーで代替できればいいのですが、量、質とも原発の縮小分をまかなうのはすぐにはとても無理です。現実的には、石油、LNG、石炭を増やすという選択でしょうが、CO2の削減目標とは両立しないはずです。どうするのでしょうか。私は、水力発電が6割以上で電力が豊富なカナダから電気を輸入するということすら考える時期が来るのではないかと思います。

 電力の問題ではほかにも、現在の9電力による地域独占体制や発送電一体の問題、東西で周波数が違う問題、電気の地産地消を進める上で障害になっている規制の問題など、戦後の電力政策を根本的に考え直すことも必要になるでしょう。

 電気の関係で言えば、ガソリン自動車から電気自動車への流れも日本においては当面、滞るでしょう。電気自動車は発電所から流れてくる電気を取り込んで走るわけで、電力不足が続いている時期に増産することは難しいでしょうし、急速充電器などのインフラ整備も進まないでしょう。ただ、電気自動車は、太陽光発電などと組み合わせて家庭での蓄電池としての役割も期待されています。電気の効率的使用の大きな枠組みの中で、電力不足が落ち着いてくると、再び動き始めると思います。そのときには、3.11以前よりも強い流れになるように思います。

 次に可能性の高いものとして、西日本の復権があると思います。

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筆者

一色清

一色清(いっしき・きよし) 

【退任】週刊紙「アエラ」前編集長。1956年生まれ。78年朝日新聞社に入り、経済部記者、「アエラ」編集部員などを経て、2000年「アエラ」編集長。beエディター、出版本部長補佐などを経て、08年10月から「報道ステーション」コメンテーターを務めた。「アエラ」副編集長時代には、中吊り広告下の一行コピーを担当。2012年1月まで「WEBRONZA」編集長。

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