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懸念される資源需給の逼迫

藤井英彦

藤井英彦 株式会社日本総合研究所 調査部長/チーフエコノミスト

直接の被害がなくても影響はまぬがれない。トヨタ自動車九州の宮田工場では2週間ぶりにレクサスブランドのハイブリッド車の生産を再開=福岡県宮若市
 東日本大震災のダメージが深刻だ。復興に向けた取り組みが始動したものの、未だ目処は立たない。影響は国内にとどまらず海外にも及ぶ。本稿では海外への影響に焦点を当てた。

 主な影響を整理すると3つの経路が指摘されよう。

 まず供給ストップの問題だ。

 今日、わが国は工作機械や部品の生産拠点だ。かつては家電製品や自動車など耐久消費財を中心に完成財の供給拠点だった。しかし、新興国を含め工場の消費地立地が進むなか、そうした各国の組立工場に最先端技術を組み込んだ部品や製造機械がわが国から供給される。わが国の生産が止まると、各国の組立工場は操業停止の危機に直面する。ちなみに2010年のわが国輸出をみると、消費財のシェアが16%にとどまる一方、生産財は25%、資本財は53%、合計78%に及ぶ。

 次に輸入の減少がある。

 大震災は国内景気を冷やし、内需が落ち込むからだ。中国に抜かれたとは言え、

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