常見陽平
2011年04月02日
就活ほど便利な悪者はいない。メディアは今日も就職難を伝え、就活の早期化・長期化による学業の阻害などを指摘し「けしからん」という報道をする。
ちょっと待ってほしい。就活の早期化・長期化については、私も問題意識を持っているが、では就活の時期が遅くなったら学生は勉強するのだろうか?ある人材コンサルタントが早稲田と慶應の学生それぞれ100人ずつにヒアリングを行なったところ、就活の選考時期が今よりも遅くなったとしたら、「今よりも勉強する」と答えた学生はほぼゼロだったという。
専門商社に内定した成蹊大学の女子学生によると、大学の単位は卒論などを除くと大学3年の夏学期に取得してしまったそうだ。その後は就活しかすることがなかったという。その後は約10ヶ月、就活に没頭し、2社から内定が出た。
もちろん、東京大学などのように、そもそも取得する単位数が多く、大学4年になっても勉強し続けなくてはならない大学もある。信託銀行に内定し、他にも4社から内定が出た経済学部の学生はこう言う。「単なる後ろ倒しでは、学生は救われない。実は春休みがある3月に本選考スタートにしてもらった方が学業は阻害しないのでは?」
留学についてもそうだ。大学の教職員からは、「就活が早期化・長期化したせいで留学ができなくなっている」「就活に不利になるのではと、留学について戸惑う学生が増えている」という声はたしかに聞く。
ただ、本当にそうだろうか?
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