竹信三恵子
2011年04月10日
東日本大震災の影響で、4月に入社する予定だった学生への内定取り消しや、来年度の採用へ向けた選考日程の延期や中止が相次いでいる。大震災という未曽有のできごとに対処するためのやむをえない措置ともいえるが、同時に、ここから浮かび上がるのは、これまでの新卒一括採用方式がはらむ問題点だ。
確かに、選考日程の延期は、被災した就活学生にとってはひとつの救済策となりうる。だが同時に、直接被災しなかった学生たちにとっては、就活の山場だった3月、4月が連休明け以降にまで延び、ただでさえ長い就活期がさらに長引くという厳しい展開になる。
復興を支援するため、被災学生の採用を優先する企業も出ている。善意はわかるが、就職の門戸自体が狭い現状では、被災しなかった学生には不公平感が生まれる。
新卒一括採用は、年に一度の大量採用の時期からこぼれると再度の挑戦がきかない点が問題になってきた。この枠組みの中では、直接被災した学生に視点をあてると被災しなかった学生がわりを食い、別の「震災被害者」を生みだすことにもなりかねない。
災害でなくても、たまたま大不況の時期に卒業を迎えた学生が、一括新卒採用の枠が狭められ、労働市場に戻ることが難しくなった例がある。「ロストジェネレーション」と呼ばれる人々だ。それ以前に、
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