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就活の危機を回避せよ 大震災で迷走する学生と企業(2)

常見陽平

常見陽平 千葉商科大学国際教養部准教授 いしかわUIターン応援団長  社会格闘家

■採用活動は「分散型短期戦」を積み重ねた「長期戦」へ

 企業の採用活動はどのように変化しただろうか?まず、時期については単なる延期ではなく、「分散化」したのが真相だと言えそうだ。人事担当者向けの情報サイトを運営するHRプロ株式会社が、企業の人事担当者138名に対して行った『東北地方太平洋沖地震の新卒採用に関する影響情報共有・交換アンケート調査第2弾』によると、「被災地のみ別途対応」「予定通り行う」が合わせて約23%、「4~5月の間で延期」「時期未定だが延期」が合わせて約28%、「6月以降に延期」が7.7%、「すぐには決めず、今後の状況を見て判断」が13%という結果になった。このデータをみると、採用活動は分散化傾向ではある。

 元々、採用活動は外資系企業や一部のベンチャー企業は倫理憲章の定める4月1日以前に内定を出していた。また、4月1日以降の流れでも商社や金融機関は早く、メーカーはそれに対してやや遅め、さらにその後、流通・飲食などサービス業や、中堅・中小企業の採用が本格化するという流れではあった。

 今年は大震災による採用活動延期の対応が、業界・企業ごとにバラバラだったので、分散化傾向が顕著である。大手メーカー、総合商社などが選考を本格化するのを6月以降に延期したインパクトが大きく、全体的に後ろ倒しのように見えるが、こうしている間にも採用活動は続いている。外資系企業やベンチャー企業はもちろん、大手アパレル製造販売会社、大手日系コンサルティング会社などはもう内定をだしている。 採用活動を6月以降に延期した企業も、戸惑いを見せている。というのも、採用活動の延期は人事部による意思決定ではなく、経営者からのトップダウンで決まったケースもある。採用担当者からは、「目の前にいる採りたい優秀学生にすぐに内定をだし、学生を楽にしてあげたい」という声を聞くが、企業として決めてしまったことなので、そういうわけにはいかない。

 うがった見方をすると、

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